【d！】総統の従妹による日常記録【コナソ】

※不審者ではありません ページ5

見たところ、小学生くらいだろうか。
肩まで切り揃えた栗色の髪につり目がちな緑の目、将来有望間違いなしの美人さん。
誰かの付き添いで来たのかもしれないが、しかし保護者らしき人は見当たらない。
…この辺は確か、関係者以外立ち入り禁止なんやけど。

「(てことは、迷子なんかなあ…あの子)」

途方に暮れたように眉を下げている女の子は、それだけでも充分庇護欲を掻き立てられる。
声を掛けるべきだろうか、いやーでもなあ…。
曲がり角からこっそりと女の子の様子を窺いながら、桜庭は悩む。
…第三者から見れば、その絵面はいたいけな幼女をつけ狙う不審者そのものだが。
けれども彼女は、「迷子なら保護した方が…」「でも不審者扱いされたらどないしょ」と真剣に考えているだけなのだ。
なのでどうか、お手持ちのスマホでポリスメンを呼ぶのはやめてほしい。
そうなってはここで話が詰む。

―――…暫く思い悩んだ後、意を決して桜庭は足を踏み出す。
従兄の友人達からは「文字通り情けない(････)」みたいなことをよく言われるが、流石に目の前で迷子になっている子どもを見捨てられるほど、自分は非情ではない。
防犯ブザー、鳴らされんとええなあ…。
心の中でそう祈りながら、声を掛ける。

「…お嬢ちゃん、迷子かな？」

？「っ！」

出来るだけ怖がらせないよう、柔らかい声音を意識して。
すると女の子は、ビクッと肩を跳ねさせたかと思えば、おそるおそる後ろを振り返った。
そして、桜庭と視線が合わさった途端、円らな目を更に真ん丸にさせて―――…どういう訳か、そのまま固まってしまう。


あかん、対応ミスった。

私はいつからメデューサに…？→←唐突なエンカウント

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