【d！】総統の従妹による日常記録【コナソ】

唐突なエンカウント ページ4

「(………何やあれ)」

廊下の曲がり角の先、困ったように辺りを見渡しながら立ち尽くす女の子を目撃し、“彼女”は当惑した。




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―――…ライブを無事に成功させ、とある界隈で“桜庭”と名乗っている彼女は、楽屋を抜け出し自動販売機に立ち寄っていた。
お金を入れてボタンを押し、中から出てきた紅茶を拾い上げる。
キュッ、とキャップを開け、その場で中身を一口。

「あー、美味いっ」

舌の上で転がし、じっくり風味を堪能する。
「堪らんねぇ」とご満悦の表情を浮かべるが、見様によってはさながら風呂上がりにビールを飲むおっさんである。
…まあ、周辺には彼女一人しかいないので、それを指摘する者は誰もいないのだが。

残りは楽屋で味わうことにして、桜庭は来た道を引き返す。
緊張はしたが特に大したミスは無かったし、観客達も楽しんでくれていた。
肩の荷が降りたことやし、今度自分へのご褒美に何か買おうかな。
そう考えながら曲がり角を曲がろうとしたところで―――…即座に全身を引っ込める。
今しがた見たモノがにわかに信じられず、少し思考を整理した後、桜庭は角からソロリと顔を覗かせた。
……………うん、やっぱり見間違いやない。

「(………何やあれ)」

曲がり角の先、廊下の真ん中で困ったように辺りを見渡しながら立ち尽くす女の子を目撃し、桜庭は当惑した。

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