今日は何さんですか？【川西太一】

篠原さん ページ13

今日は何さんなのかな、と完全に目的忘れた俺は、Aさんに会えるかなと考える。

そんな日が続いたある日。




「今日は篠原さんか……」

「篠原さん？あぁ、これ？」



うっかり声に出てしまい、さらに聞かれてしまった。彼女はニコニコしながら手元の教科書を持ち上げた。

そして恥ずかしそうに「友達に借りたんだ。忘れて来ちゃって」と笑った。



「いやぁ、私って忘れ物多くてさ」

「だろうな、とは思ってた」

「やっぱり？……前も言ってたけど太一君がたまに言う『今日は』ってやつ、もしかして借りてるのバレてた？」

「え、俺口に出してた？」

「うん、割と」



なんとなく気まずい。

……よく考えたら、話してる相手に忘れ物確認されるのキモいよな？あれ、これストーカー的なやつになっちゃう？

嫌な汗が浮かぶ。

なんとか誤魔化そうと、声を出そうとした時



「……もしかして太一君、私の名前知らない？」



それ(・・)に触れられた。

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