好きな人の笑う顔【影山飛雄】

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【影山side】

片桐達と会う、数日前。

部活後の勉強会に付き合ってもらった谷地さんを送っていた。



『谷地さん、今日もあざした』

『大丈夫だよ！……それで、今度こそ赤点回避しようね……』

『……ゔっ』



前は夏の東京合宿前の期末。

まぁ……赤点あったから。

そんな話をしていたのに、急に谷地さんがビクビクし始めた。



『……どうした？』

『ヒィッ！……いやぁ、影山君の隣なんか歩いてたらファンに暗殺されるんじゃないかって怖くなってきましてね……』

『は？』



理由はよくわかんねえけど、そういうことらしかった……いや、どういうことだよ。



『俺のファンなんかいねえよ』

『何を仰いますか……影山君はそういう人いないんですか？』

『そういう人？』

『うん、ファンというか……憧れ？』

『及川さん』

『……言い方悪かったね、ごめん。そうじゃなくて、その〜……そう、好きな人！って、あれだよ⁉私が影山のこと好きとかじゃないよ⁉あ、部活仲間としては好きだよ⁉えっと』

『お、う……？好きなやつ？いねえな』

『そうなんだ』

『……あ、でも』

『ん？』

『中学の頃、マネージャーやってた片桐Aって奴がいんだけど、そいつにはもう一回会いたいって思う』

『へぇ！……影山君、そんな顔で笑うんだね』

『？』

『すっごく、優しそう……あ"っ！ごめんなんか上から目線に……！こんなんじゃ社会でやっていけなくて路頭に迷っ』

『いや、大丈夫だろ……』



たしか、こんな話をしていた。

その時指摘された、自分の表情というよはよくわからない。

気になって家の鏡の前でやって見たけど、ただの引きつった顔で、ガキに泣かれそうなやつだった。

でも、片桐の話に当てはまるのはきっとソレだろうと思う。

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