木葉秋紀* ページ10
『……おっ』
『ん?』
『シャーペン一緒じゃん』
1年生の頃、そう話しかけられた事があった。
変哲もない、普通の青いシャーペン。
ただ使いやすくて使い続けてただけだったけど、その日から大事に使おうって心に決めた。
「Aー」
「何?」
「筆箱忘れたから貸して」
「えー……ジュース一本でどうだ」
「高えな」
まぁいいけど、なんて言いながら前の席に座るのは、同級生の木葉。
クラス数も多く、選択科目も増える中で、3年間クラスが離れなかったのは奇跡だ。神様ありがとう。
そんな彼に貸そうと、自身の筆箱を開けた。
女子あるある(?)で、使わない筆記用具も無駄に入っているので余裕に貸せる。
数本の色ペン、消しゴム。
あと────
(木葉にだったら、いいかな)
勝手にお揃いという事で、大事にしてきた彼と同じのシャーペン。
木葉にしては覚えてないだろうけど、本人になら貸してもいっか。
それを含む何点かをはい、っと差し出した。
「サンキュー」
それを受け取った彼は至って普通。
……ま、やっぱり覚えてないか。
内心少しガッカリしたけど、木葉に何かを貸せてよかったなんて思ったりして。
「ジュースじゃないけど、お礼な〜」
そう言って木葉は何かを胸ポケから取り出して、私の机に置いた。
何かなって思えば
「……え、忘れたんじゃなかったの?」
「これだけは常備してんだよ」
「変なの」
「だって一緒だしな」
あの時、一緒だって言われたシャーペン。
なんだ、木葉覚えてたんだ。
それで常備してるのか……って、なんか嬉しい。
「……貸した意味なくない?」
「win-winってやつだ」
「違うと思う」
意味ありげにニヤッと笑う木葉。
なんか悔しかったので、今日1日このシャーペンばっかり使ってやろうって思った。
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P.N 影黒 赤美 本名里崎雅美(プロフ) - 花見っ子さん» とても面白かったです!!ありがとうございます!! (2018年4月15日 19時) (レス) id: 3ce43cb10f (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - P.N 影黒 赤美 本名里崎雅美さん» 表立ったシチュリクは受けてなかったので、上手く答えられてるかは微妙なんですが、こんな感じでどうでしょうか……ご期待に添えれてなかったらすいません。リクエストありがとうございました! (2018年4月15日 19時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
P.N 影黒 赤美 本名里崎雅美(プロフ) - 面白かったです!!あの…リクエスト良いですか…?赤葦お願いします!!同じ2年で同じポジションでお願いします!! (2018年4月13日 22時) (レス) id: 3ce43cb10f (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ*ひらひら。 - 見せていただきました!!とても素敵でした!!ありがとうございます! (2018年4月11日 9時) (レス) id: c9d3db91be (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ひつじ*ひらひら。さん» 素敵だなと思ったので、シチュ(少し変えて)使わせていただきました!ありがとうございます。そして返事遅くなってすいません! (2018年4月10日 22時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2018年4月2日 20時