同じ【HQ短編集】

角名倫太郎＊ ページ4

誰かに教えてほしい


「……あ」

「えと……おはよ？」

「あ……うん」


幼馴染の定義って何。

どこからが幼馴染の範囲に入る？

家が近いこと？学校がずっと一緒こと？親同士の仲が良いこと？

じゃあ、仮にそれらの条件を全て満たしたとして、当事者同士が仲良くなくても幼馴染になるのか。

なんていうか曖昧、グレーゾーン。

ご賢察通り、俺にはそんな相手がいる。

幼稚園からずっと一緒、家も近くて親同士の仲もいい。反して自分達はそうでもない。

そんな相手・Aさんである。

昔の名残でさん付けという、いかにも他人行儀。

さっきみたいに挨拶すらままならず。


「お、角名やん！朝からどうしたん？」

「朝からうるさい侑……」

「なんやねん！……お、そうや。今日の部活にマネ希望来るらしいんよ」

「へー」


そんな会話の数時間後。


「体験入部ですが、お願いしま……っ⁉」

「……なん？」


北さんが途中で言葉を区切らせたマネ希望に怪訝な目を向けた。

が、彼女はそんなのに目も向けず、お辞儀の途中で止まったまま俺を凝視している。


(……まじかー)


言わずもがな、マネ希望というのはAさんだった。反応的に俺がバレー部なのを知らなかったらしい。

……てか何、俺は嫌われてるの？何その反応。

幼稚園に小学校、中学校と高校も。地域も同じで、ついには部活まで。

かなりの偶然。

にも関わらず、この曖昧な距離。


「……Aさん」

「うおっ……角名君」

「えーっと……よろしくね」


挨拶の後、なんとなく声をかけてみれば思いっきり、きょどられて。

相変わらずのぎこちなさ。

……でもまぁ、これを機にもう少し近付いてみようかな。

北信介＊→←国見英＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す