同じ【HQ短編集】

宮侑 ページ20

「……で？北さんが『仲良くしよう』いうたん？」

「せやから、そう言ってるやん」


俺が再度聞くと、面倒くさそうにAはため息をついた。マイペースなこいつは、所謂幼馴染という奴で。

北さんと同クラやったんやーみたいな話から、えらいスケールのでかい話になってもうた。もう冷や汗止まらんわ。

Aが鈍感なのは十分に理解しとったつもりやったけど、ここまでくると重症や。

話聞けば、それ北さんの宣戦布告やん。「幼馴染より仲ようなってみるわ」いう。

いや、さすがに俺、北さんに勝てる気ぃせんよ？

動揺しまくる俺を他所に、回覧板を回しに来たAは茶飲んどるし。サムはその隣でプリン食っとるし。なんやねん。


「…………まじかぁ」


ポツリと呟いた言葉は本音。

１つ上の幼馴染は、前述したように鈍感。且つ恋愛事に疎い。

せやから、本人は気付いてないかもしれんけど


(北さんかー……まじかぁ)


一概に北さんがAに惚れとるとは言えんけど、何かしら注意を向けとるんは事実。

対して、俺はAと幼馴染いうても、そんなに仲良いわけやない。

中学中頃からなんとなく学校で他人形相になっていった。まぁ、なんとなく理由は目処つくけど。

つまり、そんな有利なわけやない。

……知り合いと、同じ子好きになるとか。

しかも北さん。

部活の方やったら尊敬しとるけど、なんつうか


「…………あ"ぁー」


しんど。


「侑うるさいわ、茶おかわり」

「ツム、そこの煎餅取ってや」

「お前らなんなん？」

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