これが恋ではないのなら、【国見英】

《３》 ページ10

『橋下？橋下って隣のクラスの橋下Aって人？』

『うん』

『へー？』



小学生なんてそんなもんで、すぐに話題の的は次の奴に移った。当時は同じ委員会とはいえど交流はなく名前を知っているくらいだった。だから巻き込んですいませんって心の中で謝った記憶がある。

でも他の奴の興味は逸れたのに、１人だけ追及してくる奴がいたのだ。



『なあなあ、なんで橋下さん？』

『どーだっていいだろ』

『だって国見の珍しい話だぜ？聞きたいじゃん』

『竹田、うざい』



その場にいた、竹田という男子。他の奴らが違う話を始めても尚Aの話題を引っ張った。別に嫌いじゃないけどしつこい。

そして見当はずれもいいところ、「俺がお前らくっつけてやるよ！」なんて言い出して。もう否定するのも面倒くさくなってきて適当にあしらったのを覚えている。

でも、それがいけなかった。



『ちょっと、Aちゃん！竹田君と仲良くしないでよ！好きでもないくせに！』

(……Aって、橋下さんか？)



ある日たまたま廊下で聞こえてきた声。知ってる人の名前が出てきたのでそっと顔を覗かせてみると、案の定そこにいたのはAだった。しかし雰囲気悪い事この上ない。

真ん中にいたリーダー格の女子が一方的にあいつを責めていて。部分部分で話を聞く限り、その女子は竹田が好きらしく、最近竹田に話しかけられるようになったAに逆恨みしているようで。

そこでハッとした。

Aと竹田、この２人の名前から考えられる事といえば、数日前の事しか思い当たらなかった。


“ なあなあ、なんで橋下さん？ ”

“ どーだっていいだろ ”

“ 俺がお前らくっつけてやるよ！ ”



どう考えても、これだろう。

てことは何だ？今の状況って



(……俺のせい？)

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