《26》 ページ33
そして当たり前にやってきた、やってきてしまった朝。いつも寝起きが悪い俺がすっきりと起きたので家族は驚いていた。父さんに関しては「……熱か?」なんて言い出す始末である。いいえ平熱です。
朝練がない今日、普段なら遅刻ギリギリに向かうのだが、いつも通り……いや、それより早く家を出る。
だって、朝に来てって言ったの俺だから。
「……いくらなんでも早えよ、俺」
そう考えてた十数分前の俺よ、いくらなんでも早くないか。教室に一番乗りとかいつぶりだろうか。学校について時間を確認してため息が出た。なんか俺、必死すぎない?いや必死でいけないわけじゃないけどさ。
とりあえず中庭に向かった。うわあ朝の廊下超静かだな。普段の賑わいが嘘みたいだ。
(あいつ来るかな、いや来て欲しいけど……てかなんて切り出そう。やばい緊張してきた。俺今息してる?)
きっといつも通り顔には出てないんだろうけど、頭の中は大混乱である。本当に大丈夫なんだろうか、我ながら。
そんな感じで1年教室の前を通り過ぎて、中庭への道を辿ろうとした時だ。
「くーにみ君」
語尾にハートでも付いているんじゃないかと疑うほどに甘ったるい、なぜかざわつく声。そんな声が俺を呼んだ。
勿論あいつじゃない、Aはこんな呼び方をしない。じゃあ誰だ?
本能的に、それを確認してはいけない気がした。でも無視することもできず、そちらに視線をやった。
「やっぱり国見君だ。おはよう」
「……えっと、」
「あ、私のこと知らないよね。急にごめん」
(いやすいません、嫌ってほど知ってます)
断じて知らないから、戸惑いの声をあげたわけではない。相手が相手だったからである。
なんで今、なんで俺に?
「それも含めて話したいことがあってね……ちょっと話聞いて欲しいなあ」
そこにいたのは、あの先輩だった。
及川さんにフラれて荒れていた、あの。
『バレー部の中の誰かを彼氏にしたら、及川見返せると思うー?』
突如、この人が以前言っていた言葉が脳裏をよぎる。あの時は「何言ってんだあの人、馬鹿じゃね?」とすら思っていたが
(……まさか、な?)
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花見っ子(プロフ) - アップルキャンディさん» 最初から!?すごい嬉しいです!なら余計に更新ものすごく間が空いてしまってすいませんでした……このシリーズだけは絶対完結させます。お付き合い頂けたら幸いです。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
アップルキャンディ(プロフ) - 初めまして!シリーズ最初から読んでます!久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて、コメントしたくなるぐらい幸せでした…。色々と拗らせてる国見ちゃん、読んでて苦しくなるほど好きです。無理のない範囲で更新頑張って下さい。 (2020年11月29日 18時) (レス) id: addc80a2b2 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ゆったーさん» そう言ってもらえるてとても嬉しいです!安心して書ける……更新頑張ります、コメント感謝です。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 端広コウさん» 急な逃走及び告知のない復帰にも関わらず、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです。正直ちょっと泣きそう……更新頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
ゆったー - 綺麗で読みやすい文章!内容がしっかりしてて違和感がなかったです!ちょっとだけ見るつもりだったけど、凄いドンピシャで全部読んじゃいました(笑)キャラの性格と口調も掴んでて変に思わなかったです!更新楽しみに待ってます!長文失礼致しました (2020年11月29日 0時) (レス) id: d351a6af56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年8月11日 20時