《12》 ページ19
なんでこんな単純な事に気付けなかったんだろう。
水瀬がA好きだってことも
俺がAに関わるべきじゃない事も
考えればすぐじゃないか。
“ 前話に出ただろ、橋下A……まあだからなんだって話だけど。俺なんか見込みもないし最近会ってもないから仲良いかすら怪しいし ”
数日前の自分の言葉を
それを言ってしまった自分を呪った。
あの言葉がなければ、こんな悲惨な事にはなってない。Aだって、水瀬だって傷つかなくて済んだのに。全部全部、俺のせい。
『……うっざ』
そんな自分が情けなくて。ポツリと口から溢れた。自責の念の塊だ。
その後Aは “ 違う ” と叫んで下を向いてしまう。水瀬も呆然として固まってしまう。俺は俺で不甲斐なさに泣きそうになる。
状況は控えめに言って最悪だった。
『……お前、ちょっと来い』
『え、おう……』
水瀬を連れて中に入る。
後ろ手にAが走って行く姿が見えた。俺にはそれを呼び止める資格もない。
でも久しぶりに会えたのに、これはあんまりじゃないか。
『国見、』
『……楽しかったか?』
『えっ』
『好きな奴泣かせて、楽しかったか?』
『っ』
『……悪かったよ、俺も気付かなかった』
『違っ、俺がこんな事したのは、』
『お前があいつを好きで、俺もあいつが好きだって言ったからだろ?悪かったよ全然気付けなかった』
『それだけじゃないんだって、国見!』
『……いいよもう、そういうの』
『……』
『俺も悪かったよ……いや、俺が悪かった。なあだからさ、頼むよ水瀬』
『あいつを、巻き込まないでくれよ……』
その後の話
当たり前だがその後水瀬との交流はぷっつりと切れた。あんな事の後だ、当然といえばそうだ。それにまあ塾のクラスも離れたし。
その約1年後、無事に青葉西城高校に入学。
そしてそこで会ったのが
『……は』
『……え』
Aだったのだ。
勿論、最後に会ったのはあの日。
同じ高校だという事に喜びを感じた反面、あの日の罪悪感と強張った彼女を見て悲しさを覚えた。
だから、今度こそ。
俺に出来る最善の事は
『何、知り合い?』
『えっ、いや、その……』
『 “ 昔、学校一緒だったんだよ。それだけ ” 』
精一杯、関わらないようにする事だ。
あいつは俺と関わっちゃいけない。
あいつにとって、ロクなことがないのだから。
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花見っ子(プロフ) - アップルキャンディさん» 最初から!?すごい嬉しいです!なら余計に更新ものすごく間が空いてしまってすいませんでした……このシリーズだけは絶対完結させます。お付き合い頂けたら幸いです。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
アップルキャンディ(プロフ) - 初めまして!シリーズ最初から読んでます!久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて、コメントしたくなるぐらい幸せでした…。色々と拗らせてる国見ちゃん、読んでて苦しくなるほど好きです。無理のない範囲で更新頑張って下さい。 (2020年11月29日 18時) (レス) id: addc80a2b2 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ゆったーさん» そう言ってもらえるてとても嬉しいです!安心して書ける……更新頑張ります、コメント感謝です。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 端広コウさん» 急な逃走及び告知のない復帰にも関わらず、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです。正直ちょっと泣きそう……更新頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
ゆったー - 綺麗で読みやすい文章!内容がしっかりしてて違和感がなかったです!ちょっとだけ見るつもりだったけど、凄いドンピシャで全部読んじゃいました(笑)キャラの性格と口調も掴んでて変に思わなかったです!更新楽しみに待ってます!長文失礼致しました (2020年11月29日 0時) (レス) id: d351a6af56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年8月11日 20時