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「……あのさ」
ポツリと国見が言葉を零す。
私にはそれが死刑宣告としか思えない。下を向いて手を握りしめた。
対して先輩はニコニコとして国見の言葉を待っている。そりゃそうでしょうね、貴方にとってきっと都合の良い言葉が来るでしょうから。
「さっきから何言ってんの?お前」
「……は?」
「……?」
一瞬、私たちは国見の言葉の意味を取り損なった。というか理解できなかったのだ。
“ さっきから ” ?国見が来てから話しているのは先輩だ。私はずっと黙っていたから。
でも国見「何してんの?」って言ったよね?私に聞いてたんだよね?あれ、どういうこと?
というか、国見の視線が捉えてるのは
「……は、私?」
先輩だ。さっきのままの鋭い眼光で睨みつけられているのは先輩なのだ。
思わぬ事に先輩は口元をひくつかせる。その目も驚きで見開かれていて。
「お前って……え?国見君?」
「だから何してんだって聞いてるだろ」
「私は国見君のためを思って!何してたかはさっき言ったよね?なのになんで私!?」
「……先輩、流石に引くんですけど」
「……っ!何よ、勝手に悪者扱い!?何を理由にそんなっ」
《……そういう態度ほんっとムカつく》
突然国見の持っているスマホから声が流れ始める。最初はよくわからなかったけど、どんどん流れ続けて。
《どうせ貴方なら知ってるでしょう?》
《うわ〜やだやだ、知らんぷり?よくないよそういうの》
ビクッと先輩の肩が跳ねる。この声に聞き覚えがあるからだろう。というか私もこれを知ってる。
これ、ついさっきの
「……ーっ!ちょっと!それっ」
「ああはい、さっきの先輩の声ですね。いやあ、先輩って本当はこういう人だったんですね。俺驚きましたよ」
「その、違くてっ」
「何が違うんですか?俺はこれを証拠に『何してんの?』って聞いたんですけど。なーんか楽しそうなお話してたじゃないですかあ」
目はさっきのまま、声は普段より明るい。表情だってニコニコしてて、いつもの国見からしたらまるで別人だ。それが余計に怖い。
すでに涙目で真っ青な顔の先輩に、国見はゆっくり真っ黒な笑みで
「俺も入れてくださいよ、せーんぱい」
スマホを傾けつつ、そう言うのだった。
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花見っ子(プロフ) - アップルキャンディさん» 最初から!?すごい嬉しいです!なら余計に更新ものすごく間が空いてしまってすいませんでした……このシリーズだけは絶対完結させます。お付き合い頂けたら幸いです。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
アップルキャンディ(プロフ) - 初めまして!シリーズ最初から読んでます!久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて、コメントしたくなるぐらい幸せでした…。色々と拗らせてる国見ちゃん、読んでて苦しくなるほど好きです。無理のない範囲で更新頑張って下さい。 (2020年11月29日 18時) (レス) id: addc80a2b2 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ゆったーさん» そう言ってもらえるてとても嬉しいです!安心して書ける……更新頑張ります、コメント感謝です。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 端広コウさん» 急な逃走及び告知のない復帰にも関わらず、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです。正直ちょっと泣きそう……更新頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
ゆったー - 綺麗で読みやすい文章!内容がしっかりしてて違和感がなかったです!ちょっとだけ見るつもりだったけど、凄いドンピシャで全部読んじゃいました(笑)キャラの性格と口調も掴んでて変に思わなかったです!更新楽しみに待ってます!長文失礼致しました (2020年11月29日 0時) (レス) id: d351a6af56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年8月11日 20時