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「ま、要するに昨日も言ったんですけど、先輩って俺の事好きじゃないでしょ?ただ及川さんに一矢報いるために、同じ部活の俺を選んだんですよね?その方が及川さんにダメージ与えられると思ったんでしょ。まあこんな形で失敗するとは思ってなかったでしょうけど」
「……」
もう先輩は何も言わない。図星なのだろう、それにここまで言われればもう何を言っても無効だ。酸欠の金魚のように口をハクハクとさせている。その目には絶望が浮かんでいて。
形成逆転もいいところ、さっきまでの先輩の威勢の良さはどこかに行ってしまった。
「……で、どーします?」
「なに、が」
「何ってまあ、この後?この音声とかね」
「ちょ、どうするつもり!?」
「んー、具体的には決めてないですけど……先輩的には誰かに聞かれちゃったら困りますよねえ」
ニコニコではなく、ニヤアっと。国見の笑う顔は宛ら悪魔のようで。前述したが、本当にこれを直に向けられてなくて良かったと心底思う。
当たり前に先輩は国見の発言に噛み付く。そりゃそうだ、あんなの誰かに聞かれたら何が起きるかなんて容易に想像がつく。
「どうしようかな、とりあえず最悪なのは男バレ内での拡散?及川さん本人もいるし、あの人何気に人望も厚いから、先輩あっという間に周り敵だらけになりますよ。残りの学校生活お先真っ暗ってやつですね」
「な……っ!やめてよっ!」
「『やめて』?それ相応のことしてきた人がよく言いますね」
「ーっ、悪かったわよ!もうしない、反省してる!お願い、何でもするからっ!」
なんだか場違いな事を言えば、流石に先輩に同情したくなってきた。元々(私は知らなかったけど)及川さんのこととか、彼女に非がないわけではないんだけど。
それより国見、これをどうやって収めるつもり?
「……ふーん、何でも?」
「えっ、う、うん……」
一拍開けて、国見が「じゃあ」と呟く。
そしてニコニコしていた黒い笑いなんて非じゃない程の、怖い、真面目に人でも殺せてしまいそうな顔と低い声で
「……3秒以内に消え失せろ」
今日一番の恐怖を感じた気がした。
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花見っ子(プロフ) - アップルキャンディさん» 最初から!?すごい嬉しいです!なら余計に更新ものすごく間が空いてしまってすいませんでした……このシリーズだけは絶対完結させます。お付き合い頂けたら幸いです。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
アップルキャンディ(プロフ) - 初めまして!シリーズ最初から読んでます!久しぶりに占ツク開いたら更新通知が来てて、コメントしたくなるぐらい幸せでした…。色々と拗らせてる国見ちゃん、読んでて苦しくなるほど好きです。無理のない範囲で更新頑張って下さい。 (2020年11月29日 18時) (レス) id: addc80a2b2 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - ゆったーさん» そう言ってもらえるてとても嬉しいです!安心して書ける……更新頑張ります、コメント感謝です。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 端広コウさん» 急な逃走及び告知のない復帰にも関わらず、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです。正直ちょっと泣きそう……更新頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです。 (2020年11月29日 14時) (レス) id: f68b48dadb (このIDを非表示/違反報告)
ゆったー - 綺麗で読みやすい文章!内容がしっかりしてて違和感がなかったです!ちょっとだけ見るつもりだったけど、凄いドンピシャで全部読んじゃいました(笑)キャラの性格と口調も掴んでて変に思わなかったです!更新楽しみに待ってます!長文失礼致しました (2020年11月29日 0時) (レス) id: d351a6af56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年8月11日 20時