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呼ばれて来た中庭に、既に国見がいた。
あと、知らない女の子。
その人は目を細めて、国見に「好き」と言った。なんだかその落ち着き様が、余計大人っぽく見えて。
……私が言えなかった言葉を、貴女は言えるのか。
「……先輩」
「だからね、付き合って?」
国見は彼女に向かって「先輩」と言った。あの人は先輩なのか、道理で見たことなくて……大人っぽく見えるはずだ。
でも、しっかりしていそうで綺麗で、国見と並んでいたらきっとお似合いなんだろうな、なんて思うような人。
それにきっと、彼女は私のように、国見に迷惑をかけることはない。
(……だとしても、なんで?)
そんな人が、なんでいる?
ここに呼ばれたのは、私なんだよね?
彼女はなんでいる?国見が呼んだ?いや、まさか。だってそれなら私を呼んだ理由がわからない。
……いや、一つだけ考えたくないけど、可能性としてあり得るものがある。
「……先輩」
「ん?」
口を開いた国見と、目が合った。いや、この表現は違う、正確に言えば “ 国見がチラッとこちらを見た ”
そして、フッと、再度そらされた視線。まるで何事もなかったかのように。
(……え)
────考えたくないけど、あり得る可能性。
「すいません、俺、好きな奴いるんです」
「……は、」
「だから、付き合えません」
───── “ この光景を、私に見せるため ” ?
目が合って、何事もなくそらされて、国見の様子は特に変わらなくて。
それってつまり、私がいるのを知ってるんだよね?想定内ってことだよね。そうじゃなきゃ何かしらの反応を示すでしょ?
もし、そうだとしたら国見は
この光景を見れば
今のセリフを聞いたら
『好きな奴いるんです』
私が、近付かなくなるって思ったのかな。
(……これは、恋じゃない、はずなのに)
そう思ったら胸が痛いよ、張り裂けそうだ。
ねえ、国見、
今のセリフ、誰に向けての言葉?
その先輩?
それとも、私?
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雪猫(プロフ) - 花見っ子さん» いえいえ!大丈夫ですよ!続きも読ませてもらいました!国見ちゃん視点を読んでもっと面白いなって思いました!国見ちゃんがどう思ってたのかとか、あの誤解は結局どうなんだろうとか考えるのが楽しいです!続きも楽しみです!頑張ってください! (2019年8月19日 0時) (レス) id: 044c7ba7ac (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - しば子さん» 本当にコメント返すの遅くなってすいません……その上更新も酷く不定期で。その中で読んでいただけて嬉しいです。今後も少しずつ頑張りますので、よければまた見てくれたら嬉しいです。 (2019年8月11日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 雪猫さん» ずっとコメントお返しできてなくてすいませんでした。今更なんですが本当にコメント嬉しかったです。自分で書いててあれなんですが、わかりにくいところも多いと思います。そんな中読んでくださってありがとうございました。続編も書いたのでよければ…… (2019年8月11日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
しば子 - 国見推しなんですけど、話の続きがすごい気になるし続きを読むたびドキドキします笑このお話大好きです!更新楽しみにしています、無理しない程度に頑張ってください!! (2019年7月28日 10時) (レス) id: 923e20aa2a (このIDを非表示/違反報告)
雪猫(プロフ) - こうゆう感じのお話好きです!更新頑張ってください!!最近国見ちゃんが自分の中では来てて、続きが楽しみです! (2019年6月29日 1時) (レス) id: 7dccd2123b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花見っ子 | 作成日時:2019年3月30日 21時