これは恋ではないので、【国見英】

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「じゃあ、ここで」

「うん、ほんとありがとう」



電車に乗って、家の近くまで来て。

中学は一緒でも、彼らと家の方向は駅を中心にすると逆方向。なのに、途中まで送ってくれた。本当に優しいと思う。



「……あれ、そういえば２人はなんであそこにいたの？用事あったんじゃない？」

「……」

「あー……それね？青城の近くにスポーツ用品店あるでしょ？あそこに行こうとしてたんだ。ネットでも買えるけど実際見たいし……それでツッキー行くっていうから俺も来たんだけど、その……定休日で」



帰ろうとしてたらAさんに会ったんだ、と笑う山口君に月島君はまた「うるさい山口」と言うのだった。




そんな２人と別れ、家に着いた。

「ただいま」と言えば「おそかったね」と言われて適当に返事をする。ご飯を食べて、お風呂に入って、今日は早く寝よう。

話したいことが何かはわからないけど



『君だって言いたいことあるでしょ？』



……うん、あるよ。言いたいこと。





───────────────


「……明日、大丈夫かな」

「大丈夫でしょ。山口はそんなに不安？」

「ツッキーはなんで落ち着いてるの……」

「勘だよ。それに、あいつがノートを引きちぎるような奴だとは思わなかったし」

「どういうこと？」

「それくらいAさんに本気なんじゃないかなってこと」

「ふーん？……それにしても、世間って狭いね。影山の元チームメイトとAさんかあ」

「そんなもんでしょ。今回たまたま僕たちの知り合い同士がそうだったから、余計にそう思うんだろうね」

「そっか……それよりツッキー、よくわかったね。バレー部の話でAさんの顔が歪んだとか、そういうの。俺全然気付けなかったよ」

「……まあ、中学からずっと見てたからね」

「えっ」

「……はい、この話は終わり。僕らも帰ろう」

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