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織田作之助。先ほどの徳田秋声という男といい、思い出した。彼らは、文豪だ。
「ん? どないしたん、そんな顔して……あ、アンタあれやろ、ワシがあの織田作之助やって知って驚いてんねんやろ!」
図星だった。少女は数秒ほど驚きに硬直した顔をなんとかして笑顔に切り替えると、頭を縦にぶんぶん振った。
「ふーん、で、次はお嬢さんの名前教えてーな」
「あ、あはいっ、わ、私……東雲 Aと申します、お父様の仕事で、付き添いで来ました!」
「えらい緊張しとるやん、笑える…………ああ、ところで、そのお嬢さんの親父さん何処にいるか知ってる?」
「確か、図書館の奥の倉庫と思いますが……」
ついさっきまでそこに行ってたし。にしても、あの織田作之助がこんなにフレンドリーだったなんて。最初は同姓同名の誰かだと思ったけど、さっきの倉庫の光の件といい、浮世離れしたデザインの服といい、彼らは本物だ。きっとお父様のようなアルケミストが転生させたに違いない。Aは確信した。
「じゃ、お嬢さん連れてってくれん? ワシまだここに来たてで図書館がどこかようわからんねん」
「あ、わかりましたっ」
また図書館まで行くのか。音にならないため息をついて、Aは図書館の場所を案内した。その間、隣にいる男、作之助は延々と喋っていた。
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作者名:逆さ天然水 | 作成日時:2017年7月23日 9時