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Aサイド
『柊斗くんっ、この髪の毛見てっ!あっ、ちょっ、逃さないよーーっ!!!』
何があったの?と言わんばかりの表情の柊斗くんに状況を説明し、私は髪の毛を追いかける。
全然女の子らしくないけど!!走り方も可愛くないけど!!
私は小学校・中学校時代、毎回陸上部のエースだったのよ______!
『やった!捕まえたっ!正体を現しなさいっ!』
髪の毛はじたばたと暴れまわる。
私は握りしめ、離さまいとするが、このままだと逆に髪の毛がちぎれる。
「Aさーーんっ!!捕まえたんですかーーーっ?」
『柊斗くん!良いところに来てくれた。ハサミ、持ってない?』
「ハサミ?コンパクトサイズなら・・・。はい、どうぞ。」
姿を見せないのなら、美術・技術の成績2の私が、この髪の毛をカットしてやろう。
『私、これでも美術の成績、2だったからさー。人並みには切れると、』
美容師が良くやるみたいに、指の間に髪の毛をはさみ、さぁ切るぞというところで。
「放せよっ、あっおいっ切るな馬鹿!!」
『あっ、手元が狂って・・・』
ボワワン、と白い煙と共に、現れた一人の男の人。
それにびっくりした私は、切る予定では無かった髪の毛までジョキンッ、と切ってしまった。
「お前なんで俺の髪の毛切るんだよ!!しかもへったくそだし・・・
てかここだけ短いし!!なにしてくれてんだよ!!」
桃色の髪の毛(一部分が短い)、瑠璃色の瞳。整いすぎた顔。
そして、胸元の名札。
『あっ、あの時の先輩・・・』
そう、私が髪の毛を切った相手は、"あの"生徒会メンバーの桃宮さとみ先輩なのである!!
「んぁ?お前、さっきのすげぇ種小さかった女じゃん。Eクラスだろ?なんでお前が俺の姿隠しの術を破れたんだよ・・・てか、謝れよ。」
あの時の王子様スマイルはどこにいったのかしら。
『謝る前に、先輩、私達Eクラスの人に変な魔法かけているでしょう。』
「僕達の姿が見えなくなるような。」
柊斗くんが援護してくれる。
先輩は、はあ?と目をぐるりと回す。
「どうやったら今日来たばっかりのお前らに魔法かけれるんだよ。俺がかけたのは、お前ら以外の生徒を、お前らから隠すこと。これ伝統なんだよな。底辺を見ると、自分も底辺に落ちるというか。
まぁ、我慢しろよ。」
『なっ・・・・』
私は怒りでぷるぷる震えている。柊斗くんが優しく背中をさすってくれる。
当の本人は、髪をいじりながら「なんで俺の術解けたんだよ」とぶつぶつ言っている。
理不尽。ずるい。
涙が出てきた。
私の中の何かが、爆発する。
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作者名:点P撲滅隊リーダー兼隊長兼事の発端者 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2022年8月12日 15時