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Aサイド
『・・・・』
「・・・・」
・・・・気まずい。
とてつもなく気まずい。
もう9時だけど、先生いないわけ?
まさか、底辺クラスだから、いないとか・・・
「あの、僕、さっき聞いたんですけど・・・、」
美甘くん?柊斗くん?がおずおずと話しかけてきた。
自分ができる、精一杯の笑顔で。
『なあに?』
「えっと、このクラスは担任とかいなくて、自習制らしいんです・・・・」
え。嘘っ。
Eクラスって、そこまで見放されてるの?
しかもこの環境で、どうやって自習しろっていうのよ。
教科書だって配られてないし、学校のことも教えられてないし。
私・・・ちょっと、生徒会の人に文句言ってくる。
『美甘くん。私、ちょっと先生呼んでくるね。』
「あっ、それなら僕も・・・行き、ます」
なぜか美甘くんもついてきて、2人で先生を呼びに行くことにした。
______
『う〜〜〜先生どこなの?人っ子一人いないんですけど・・・』
頭を抱えながらそう言うと、美甘くんがクスッと笑った。
「雨宮さんも、そういう表情するんですね。僕、すっごく堅苦しい人なのかなって最初緊張しちゃいました。」
えへへっ、と笑うその顔は、私の心臓を撃ち抜いた。
『かっ・・・かわっ・・・・』
可愛いという言葉を必死で飲み込む。
ここで可愛いなんて言ったら、ただの変態になっちゃうよ!!
「?どうしたんですか?」
『ううん!私も最初、感じ悪かったね。タメ口で良いよ!あと名前で呼んでくれる?
柊斗くん。』
「あっ、勿論!2人しかいませんけど、頑張りましょう!」
まるで青春ドラマのワンシーンのように、あははうふふと笑っていたのに。
かなりの声量で。
『なんで誰も気づかないのっ?!』
「誰かが”そういう魔法”をかけてると思うな。生徒会メンバー?とか凄いらしいし。」
そういう魔法って、私達を見えなくする魔法?!
それはちょっと道徳心に反すると私は思うな!!
『私・・・すっごくすっごくムカついてる。なんでこんなに差別されなきゃいけないのっ?!』
Eクラスだからって、能力が無いからって、こういう差別は良くないよーーーっ!!!!
目から涙が出るくらい、怒りが沸騰していたその時。
____ふぁさっ
ピーチフレグランスの香りが私の鼻先をかすめた。
あれ、香水なんて、誰もつけてないと思うんだけど。
直感的に香りの方を向くと。
『あーーーっ!!!!』
まるで魔法にかかりきれなかったような桃色の髪の毛が、一房浮いていた。
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作者名:点P撲滅隊リーダー兼隊長兼事の発端者 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2022年8月12日 15時