懺悔をするべきか ページ45
このヒビの入った目を見たのは、僕の看病をしている時だという。額に冷やす物を置こうとして、前髪を退けた時に見たそうだ。
「その目、説明して欲しいわ」
「トワ、それは私たちも…知らなかったです」
「この子達にも内緒にしてたのね」
「…どうか、せめて、マナと寮長だけの話にしてほしい、お願いだ」
「わかりました、トワ」
「とは言っても、僕もよく分からないんだけどね」
「いつの間にかってことかしら？」
「ふと鏡を見た時でしたね…しかもヒビはどんどん広がっていってるし、何となく目の色が薄く感じる」
いつどのタイミングで、ヒビが広がっているか全く分からない。けど、いずれは知ることになるだろう。
「この本には、そんなこと書いてありませんでした」
マナは、最近また厚くなった本を持つ手をギュッとした。泣きそうな顔をこちらに向けて僕に問う。
「トワ、何故言ってくれなかったんですか…私たちはトワの子供ですよ…」
「悪い…心配させたくなくて……」
「頼ってください、トワ、その為の私たちです」
「…あぁ……セイヤ、寝たフリはいらないぞ、心配かけてすまない」
布団に顔をうずくまらせてるセイヤは、ゆっくり体を起こす。我慢してても勝手に流れる涙を、止めようとはせずに、代わりに僕に飛びついてきた。
「母さん…」
「あんた、愛されてるのね」
「はは…まぁな」
空気が重たくなってしまった時、ノック音がした。
「どうぞ」
部屋に入ることを許可すると、現れたのはアズールだった。本当に呼んだのか。
「その…具合の程は…」
「今起きたばかりなんだ、ベッドに座ったままで悪いねホント」
アズールがどこかソワソワしている。
「言いたいことあるなら言えばいいじゃない」
ヴィルがアズールを急かす。堪忍したアズールは深々と頭を下げた。
「この度は、申し訳ありませんでした」
「アズール……そうだな、許されないことだな」
「トワ…！」
「でもなアズール」
僕は言いたかった事があるから聞いて欲しい。
「アズール、人には欲望が存在してて、それは何より優先したいものなんだよ。でも限度がある。その限度を超えてしまったものは後に傲慢と呼ばれる、それはこの世の七つの原罪の1つでとても大きな罪だ。そしてアズールの欲望はモノを欲すること、アズールは今回それの限度を超えた。これも原罪の1つの強欲。大きな罪なんだよ、でも古いね…」
「つまり？」
「さぁ、懺悔なさい、これまでの行いを悔やみなさい、そして報われなさい」
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神里(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます、頑張ります！ (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 2475bb3e2f (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 良い作品です。更新頑張ってください！ (2021年3月26日 7時) (レス) id: 74f0a1383a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神里 | 作成日時：2021年2月27日 11時
