宝物を取り返す為に ページ38
あれからヴィルが代わりに、どんな契約をしたか聞いてきてくれた。あの子たちと引き換えに、人魚の姫のような美声を手に入れることが出来る薬をもってこいとのことだった。
「美声…？…持っていかない、あいつからはむしろ声を奪ってやる」
「トワ、落ち着きなさい」
「うるさい！分からないくせに！！」
ヴィルにむかって叫ぶ。ヴィルは何も悪くないのに当たってしまう、でも理性は保てなかった。
「…これからモストロラウンジに行く」
「あんた、そんなことしたらあの子たちがどうなるかわからないわよ！」
「…うるさい、だって…」
「こういう時こそ慎重によ、まずはその薬を取りに行く必要があるわ」
「……そうだな、1人で良い、行ってくる」
鏡の間に行くと、エースとデュースとジャック、それから監督生にグリムがいた。これから海に行くのだろう。監督生達はこちらに気づく。
「お前は…」
「トワ！お前倒れたってエペルから聞いたが大丈夫なのか？」
「……それどころじゃない、僕は行かなきゃいけないんだ、君たちと行動してる場合じゃない」
「…トワ？どうした？」
服が濡れるとか、酸素が無いとか気にしない。全ては想像力でなんとでもなる。怒りに満ちているおかげで集中力は掻き乱されているが、なんてことは無い。あの子たちの為なら僕は。
「おい！トワ！」
デュースに肩を掴まれて引き戻される。
「邪魔をするな！離せ！！」
目を見開いて怒声を出す。
最近は怒声ばっかりで喉が痛い、でも怒りは収まらないから、どうしようも無かった。
「…今回は1人でやるんだ、邪魔をするな」
「あれ？今回はユニーク魔法使わねぇの？」
エースの問いに怒りが反応して、手が出るところを何とか抑えた。
「…僕はもう行く、またな」
「おい！トワ、待て！」
ジャックの声を後ろに、鏡に足を踏み入れた。
顔を抜けると、綺麗な海のそこが広がっていた。
でも今は見とれている場合では無い。薬を探しに行かなければならない。空を飛ぶ感覚で海の中を進む。
「具体的な薬の場所を知らないが…やはり…」
「お探し物はこれですよね？」
上から声がして海面の方を見上げる。
ウツボの姿をしたジェイドがいた。右手には薬を持っていた。
「ジェイド…戦って勝ったらくれる感じ？」
「まぁ、そういうことです」
「そうか、なら……すぐだ」
海の中は魔法が効きにくい。魔法の軌道が悪いから。
なら答えはひとつ。
「拳で語ろうじゃないか、ジェイド･リーチ」
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神里(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます、頑張ります！ (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 2475bb3e2f (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 良い作品です。更新頑張ってください！ (2021年3月26日 7時) (レス) id: 74f0a1383a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神里 | 作成日時：2021年2月27日 11時
