実質初授業だった ページ29
「トワ、起きてください、時間ですよ」
誰かに起こされて目を開ける、マナだった。
マナは僕らの世界の書架という、いわゆる図書館の司書だ。黒髪のボブで赤いカチューシャをつけている。「起こすように頼まれとセイヤから聞きまして、肝心のセイヤがユノ達に捕まっていたので代わりに起こしに来ました、さぁ、今日から授業に出るのでしょう？さっさと起きてください」
「ありがとう姉御」
「前から言いたかったのですが何故姉御なんですか」
僕は前世から、マナのことを姉御と呼んでいた。言葉通り姉のようだったから。
「姉御っぽいから」
「はぁ…さっさとしてください」
制服に着替えていると、ヴィルが入って来た。
「失礼するわよ…あら？その子は？」
「あぁ…姉御、隠れなかったんだ。セイヤ達は一応隠れたりしたのに」
「構いませんから、トワ。初めまして、マナと言います、ご用件は？」
「その前に、あなたもその子の？」
「はい、トワは私たちの母ですよ、何人かは教えないですけどね」
「母……？まぁいいわ、それより、あなた授業に何度出たの？」
やっぱり昨日の話はそういうことだったのだろうか。今日からある程度の授業に出ることをヴィルに説明したが、それなら寮でも時間通りに過ごしてくれと言われた。それだけは丁重にお断りした。
「まぁ授業に出るだけいいわ、頑張りなさいね」
「はい、寮長」
ヴィルは部屋から出ていき、マナがふっと笑った。
「いい寮長ですね、トワ、頑張りなさいね」
「…あー、はい」
「あ、朝ごはんは？」
「姉御のサンドイッチ食いながら行く」
「あら？バレてたんですね」
「匂い」
マナが作ってきてくれたサンドイッチを口に入れながら寮を出た。数歩歩くと、後ろから自分を呼ぶ声がした。分かりやすかった。
「トワー！」
振り向くと、エペルくんが元気に駆け寄ってくる。
「ヴィルさんに、一緒に登校するように言われたんだ、僕も一緒に行きたかったし、どうかな？」
「あぁ、良いぞ」
推しと登校とは発狂案件だが、キャラ補正のおかげで冷静でいられた。キャラ補正感謝。
「あ、やべぇ教室の場所分かんねぇ」
「どんだけ学校行ってないの？じゃあ、今日頑張って覚えてね」
「んだな、けっぱるわ」
「あっ…！」
やっべ久しぶりに方言出た。
…良かった、またちゃんとリラックスできるようになったんだな、嬉しい。
「最初はなんの授業？」
「確か、魔法薬学だったかな」
「…そうか」
絶対寝る。
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神里(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます、頑張ります！ (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 2475bb3e2f (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 良い作品です。更新頑張ってください！ (2021年3月26日 7時) (レス) id: 74f0a1383a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神里 | 作成日時：2021年2月27日 11時
