消えないものもある ページ20
トワの中には、トワが無意識に創り上げていた世界が存在している。ユニーク魔法のトワの子達はみんなここで暮らしている。世界の見た目は様々で、一部はヨーロッパの街中、一部は城、一部は平安の町、一部はただの平原、そのキャラ一人一人にあった世界が存在している。
その世界の一部、大きな城の談話室に、ユノとセイヤとミコト、それから城の主のコスモという水色の髪と目をした姫がいた。
「ママ、どうしちゃったのかな……」
「ユノは悪くないから大丈夫だ、安心しろ」
「それにしても、母君がそのようなことに…そのアズールとやらが原因なのは分かるが、何に怒ったのか分からんなぁ」
「……その話が本当なら、アズールは…いや、まさかな」
ミコトは何かを思いついたようだが、違うだろうと判断した。ありえないと思ったからだ。
「ミコト、心当たりが？」
「いや、アズールの話が本当なら、どうも遠回しに私たちを狙っているように思えたけど…アズールについて、母様は知ってるけど私たちは知らないからなんとも言えないけど、アズールに魔法を取る能力があったら…と思って」
ミコトは、知らないが故に確信を持てず、知らないが故にありえないと判断した。
ミコトは正しいが、ミコト自身は魔法を代償無しに奪うなんて不可能だと判断した。
「あら、それはあり得ると思うけど」
コスモはそう言った。
「あなたたちの話を聞く限り、その世界は魔法を封じたり、魔法を自分のものに上書き出来たりするんでしょう？奪えてもおかしくはないんじゃないの？」
「あっ…」
ユノは心当たりを思い出した。トワがこの世界で怒ったのは今回と1つだけ。それは自分達を侮辱された時だけだ。子を侮辱された母は、今まで見たことの無い表情で怒った。
「じゃあ……ママは…」
「ユノ、1人で行けるか？」
セイヤがユノに問う。優しい目をしていた。
「うん！ママの所に行かなくちゃ！…あ、でも…」
「1人にしろって言われたと思うけど、行くべき」
「うん…分かったミコト。みんなありがとう」
「僕らは大勢な1人だ、だから大丈夫」
「うん！」
ユノは外に出ると、言葉を失った。
コロシアムの誰もいない観客席でポツンと座っている母が、俯いて、両手で顔を覆い、1人でブツブツと呟きながら涙を流していた。
「なんで…また…こんな…思いを……」
「……ママ？」
「……ユノ、まだ1人にさせてくれ」
「ママ…！あのね！」
「ユノ！！」
ユノは何も出来なかった。
「…分かった、ごめんねママ」
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神里(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます、頑張ります！ (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 2475bb3e2f (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 良い作品です。更新頑張ってください！ (2021年3月26日 7時) (レス) id: 74f0a1383a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神里 | 作成日時：2021年2月27日 11時
