◇冷たいコンクリート ページ17
目が覚めたら冷たいコンクリートに横たわっていた。
目の前にはナイフを持った糸目の男性と、日本刀を持ったマスクの男性がいて、思わず悲鳴をあげた。
ガシャンという音ともに動かない手と重い片足。目の前にある鉄格子。その奥にいる綺麗な格好をした男性。
今まで見たことのない光景ではあるが、予想は着く。
捕まったのだ、と。
『私は、何もしてません。何も知りません。殺さないで…』
生かして貰えるかも分からないが、そう訴えかけるしかなかった。
「ふうん。じゃあ変なことせんでね」
『へ、』
「死のうとか、逃げようとか、しないでね？」
したら、わかるよね？
優しい言葉の中からにじみ出る恐ろしいほどの圧力に、首を縦に振ることしか出来ない。
「明日の朝また来るから、素直でいい子にしてて欲しいめぅ」
ガシャンと牢を開けて出ていったふたり。ガチャリと牢の鍵を閉めて、そうだ、と日本刀の彼が振り返った。
「あんた、名前は？」
『、あ、えと、Aです…』
「へえ、Aね、じゃあまた明日」
そう言うと3人は重い扉を開けて出ていった。
張り詰めた空気が一気に解放されて、気が抜けたのかコンクリートに倒れ込んだ。
殺されるかと思った。
あまりにも恐ろしくて、震えが止まらない。
後ろで手錠をつけられた状態では自分自身の腕で身体を包むことも出来ない。膝をゆっくり曲げて丸くなることしかできない。
最後の記憶の時に殴られたであろうみぞおちはまだ痛い。
硬いコンクリートとに寝かされていたのだから節々も痛い。
明日の朝、また来るって言ってたな。
拷問されるのだろうか。殺されるのだろうか。
何を、されるのだろうか。
分からない、何も分からない。ここがどこなのかも、あの人たちが誰なのかも、どうなってしまうのかも。何も、分からない。
恐ろしい、怖い、そんな感情しか出てこないのだ。
『みんなに、会いたい』
食堂の旦那さんとおかみさんに花屋のお姉さん、靴屋のおばちゃんや八百屋の店主さん、魚屋のおばちゃんに町長さん。
たった1ヶ月やそこらなのに優しくしてくれた町のみんなに会いたい。
そう言えばお父さんとお母さんの墓参りだって行けてなかった。素敵な賞をもらったって報告しに行くつもりだったのにな。
担当の富田林さん困ってるだろうな、急に連絡取れなくなっちゃって。きっと今頃、元の世界では行方不明になってるだろうな。それとも死んじゃってるのかな。
それからサヨさん、本部まで帰れたかな。
無事に着いてるといいんだけれどな。豚のピンバッチ返せなかったな。
ポロポロと出てくる涙は止まらない。ひとしきり泣いたあとゆっくりと微睡みの中に落ちていった。
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
