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がやがやと騒がしい廊下を通り抜け、上階へと繋がる階段を上る。
上質なカーペットが敷かれた無駄に長い廊下を進めば、眼前に聳える巨大な扉。
豪華だが決してセンスが悪いとは言えないこの扉はあちらこちらに宝石が散りばめられており、「傷つけたら怒られそうだなあ」なんて考えながらノックした。
控えめに4回、それが私、準幹部の決められたノックの回数。
暫くして、耳障りの良い低音が鼓膜を震わせた。
「Aか、入れ。」
何でノックだけで私だと分かったかなんて、野暮なことは聞かない。
色々とチートなのだ、うちの幹部様達は。
「失礼致します、先週の定例報告会の資料をお持ち致しました。ご確認ください。」
「ふむ、で、その紙は？」
「辞表です。今日受け取ってもらえますよね？」
ね？と強調し、我らが総統グルッペン･フューラーに押し付ける。
「だから何度も言ってるだろう。俺の嫁になれば仕事を辞められるゾ？」
「全国民女性に怨まれるんですがそれは。」
「Aはやはりスタイルが良いからな！体のラインが出るウェディングドレスが似合うだろう！」
目をキラキラさせながら楽しそうに語る総統閣下。
人の話なんて聞いちゃいない。
なんだ体のラインて。セクハラだぞ！セクハラで訴えるぞ！
こめかみが引き攣るのを抑えながら今日も私は小さく叫ぶ。
「いつになったら転職出来るんですかねえ？！」
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作者名：十夜 | 作成日時：2017年10月23日 16時
