ATTENTION (ページ38)

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#K.Kazuma ページ38

壱馬side

" A送り付けておいたから後はよろしく "

酔って上機嫌な北人からそんな内容の電話がかかってきた
その僅か数分後、ピンポーンと鳴らされたインターホン

久々時間あるからエペでもしよ思てたのに

壱馬「……ほんまいらんことしやがって」

エペどころか最悪寝られへんで、朝早いのに

「エレベーター故障してたありえない」

玄関の扉を開けるなり、愚痴を吐きながら抱き着いてきたA

その途端ふわっと鼻を掠めるのは
アルコール特有の匂いに若干混じった北人の香水

思わず眉を顰めた俺の頬に伸びてくる冷たい手

「壱馬くん、」

俺の名前を紡いだピンクの唇が雑に押し当てられる

頬を両手で包まれたまま遠慮なく割って入ってこようとする舌に
後退りして距離を取れば不満そうな顔で見つめてくる

酔うとキス魔になるこの癖、そろそろ直してもらわな困るて

壱馬「もうさっさと風呂入って大人しく寝ろ酔っ払い」

「ひどい、なんでそんな言い方するの？」

壱馬「部屋着用意しておいたから」

最近ご無沙汰やったせいでクローゼットの奥で眠っていた
Aの部屋着をわざわざ引っ張り出してきた俺

律儀に畳んだ状態で突き出すと嬉しそうに口角を上げている

「すっかり壱馬くんの匂いになっちゃってる」

壱馬「……あれやったら洗濯し直してもらって構わんけど」

「ううん、嬉しい」

確定で男が喜ぶ言葉を素でぶつけてくるうちの紅一点に
心の底から溜息をつき、頭を抱える

この状態のAを易々と手放した北人はほんまに男か？

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