ATTENTION (ページ34)

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#K.Kenta ページ34

健太side

海青「バトエンとか当時相当流行ってましたよね」

陣「うーわ懐かし」

翔吾「……あっ、あれ知ってます？」

ツアー真っ只中、遠征先のホテルで暇を持て余した俺達は
夜な夜なキャス配信でもして時間を潰していた

思い出話に花を咲かせる3人とは裏腹、正直飽きてきた頃

ピンポーンと部屋のチャイムが鳴らされた

健太「あ、誰か来た」

備品のメモ用紙で紙飛行機を折る手を止め席を立つと
画面の中から陣さんの小言が聞こえてくる

それを右から左へ聞き流しドアを開ければ

「健太くん、」

すっぴんに眼鏡、風呂上がりらしくノーセットの髪に
緩い部屋着姿のAが突っ立っていた

健太「しないよ。生配信中だから」

熱を含んだ声色で名前を呼ぶAに
大概察しの悪い俺でも分かる彼女がここへ来た理由

「え、何の」

健太「キャス」

スリッパを脱いでズカズカと部屋に侵入すると
俺より先に画面に顔を出そうとするAを慌てて止める

まぁ別にこいつだったら何の問題もないんだけど、念の為ね

健太「悪いけど一旦帰って」

「なんで」

健太「終わったら呼ぶから」

「二度手間じゃないですか」

健太「また変に噂流されるよりマシでしょ」

タチ悪いファンに変に切り取られて拡散されて
片方の名前を検索すれば、暫くはセットで横に並んで

「……要するにバレなかったらいいんですよね？」

画面にはギリギリ映り込まない死角

上目遣いで俺のパーカーの裾をギュッと握り
首を傾げ、怪しく口角を上げながらそう小さく囁いたA

男は女のこの顔に弱い

陣「健太ぁ〜？何してんの？」

健太「すみません、マネージャーでした」

易々と折れた俺は、平然とした顔で嘘を並べ
何事も無かったかのように椅子に腰を下ろした

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