ATTENTION (ページ17)

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樹side

玄関の扉を閉めた途端、再びAから重ねられた唇

突然シャツの中に侵入してきた彼女の冷たい手に
思わずビクッと肩を跳ねさせるとゆっくり離れていく顔

潤んだ瞳に半開きの唇、そして甘い香水の香り

樹「……なに、珍しく積極的じゃん」

「今日は私が主導権握るから」

樹「ふーん。生意気」

毎回そう言って今までに一度も握れたことないのに

酔っ払いの遊びに付き合ってるほど余裕なんてないから
さっさと寝室へ連行しようとAの脇に手を入れる

と、平然と振り払われてしまった

「余裕ないの丸見え」

そう小さく呟きながら俺の足元に跪き
カチャカチャと慣れた手付きでベルトを外し始める

……いや、ここで？

「舐めてい？」

樹「…っんなこといちいち聞いてくんな、」

お互い靴も履いたままじゃ当然雰囲気なんてゼロ

なはずなのに、自分でも笑えるくらいに反応しているソレが
熱い粘膜に直接包まれるこの感じ

「きもちい？」

樹「ん、…いい、」

Aの頭を優しく撫でながら素直にそう答えると
ほんと？なんて嬉しそうに頬を緩めている

あえて故意に主導権握らせてみるのもありかも知れない

樹「おい、これはやりすぎ」

「別にいいじゃん」

事後、脱衣所の鏡で自分の姿を見て思わず唖然とした

首から胸にかけて痛々しいくらい無数に刻まれている鬱血痕
犯人であるAは完全他人事でドライヤー中

「今週はもう撮影もないし何とかして隠せばいいでしょ」

樹「誰が」

「樹が」

樹「……マジふざけんな」

そう簡単に隠せるなら誰も苦労しねぇんだわ
お前が一番知ってんだろ

なんて口にする気力もないから溜息に変えて吐き出した

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