39、だって西蔭さんがあまりにも柔らかく笑うから ページ39
無我夢中で食べ、スープまで飲み干してしまった。まだ食い足りない気分だ。
「スープまで飲み干しちゃったんですか。食べっぷり良いですね。」
Aは肩を揺らし笑い、自身は替え玉を頼む。こいつ。
「西蔭さん西蔭さん。餃子お一つあげます。」
「いや、悪いからいらない。」
「でも、まだ食い足りないって顔してます。鉄壁の仮面が崩れてますよ。」
自分が相当緩んだ顔をしていることに気づき、表情を正した。そんなわかりやすい行動をとる俺を見て、Aは愉快そう。
結局、ありがとう、と素直に餃子を頂いた。餃子も餡が詰まっていて、それでいて皮はやはりモチモチでとても美味しかった。
Aが替え玉を食べ終わるまで席に座って待つ。横目で見ていたAもなかなか良い食いっぷりだった。食べ終えた彼女は箸を置き、満足気に口を拭う。
「スープは飲まないのか？」
「はい。塩分高くて身体に悪いので。」
「へえ。」
ストイック。
とは言いつつも、彼女はスープを飲みたそうにウズウズしていた。気持ちはわかる、っていうか俺は飲み干してしまった。黄金色のスープはそのくらい味わい深く美味しかった。
お金を払って店の外に出る。サービスの味玉のお礼も、忘れずに言った。また来たい。いや来よう、近いし。
来たら、Aがいたりしてな。もしそうなったら笑える。
俺の後に会計を済ませたAが店から出て来た。
「今日はありがとうございました。」
「こちらこそ。ラーメンうまかった。」
「それなら良かった。」
ふふ、とAは顔を綻ばせた。
Aの笑顔は、自然だ。お付き合いだとか、お愛想だとか、そんな雰囲気はまるでない。
そういう、彼女の子供のような純粋さは、俺が初めて出会うものだった。
ふとAを見ると、目を見開き口をむすび、なんとも言えない表情をしていた。
「……どうした？」
訝しんで俺が聞くと、いえ、とAは答える。
「なんでもないです。」
「そうか。」
慌てたように答える彼女に少し眉根を寄せたが、深く追及するのはやめた。
「なんか、こんなに近所に王帝月ノ宮があるんじゃ、すぐにまた会いそうですねー。」
確かにな、と俺が答えると、Aは、今日一番のとびきりの笑顔で言った。
「それなら次は、細麺ですね。」
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マトリックス(プロフ) - 飴子さん» コメントありがとうございます！二人の中学生感、私も気に入ってるのでめちゃめちゃ嬉しいです。 (2018年9月16日 18時) (
レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
飴子(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。テンポの良さと夢主ちゃんのキャラが痛快で、サクサク読んでしまいました。とても面白かったです！個人的に夢主ちゃんと風子ちゃんの中学生らしい会話が好きです。続きを楽しみにお待ちしてます。 (2018年9月15日 23時) (レス) id: e8d9f617ef (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - マトリックスさん» カッコいいですよ！！続き気になります。 (2018年8月30日 15時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
マトリックス(プロフ) - 速水ヒロcv前野智昭love♪さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけると嬉しいです！声優さんあまり詳しくないので、調べてみます〜 (2018年8月30日 12時) (レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 初めましてコメント失礼します。続き気になります。めっちゃ面白かったです。西蔭君の中の人もかっこいいですよね？更新頑張ってください (2018年8月29日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マトリックス | 作成日時：2018年8月21日 11時
