ありがとう ページ30
・
墓石を磨いてもらって、花も変えてもらって。
まさに旅支度が整った感じ。
お墓へ向かう上り坂はもちろん帰りには下りになるので、少しだけ早く坂道を行ってしまう。
2人の背中は私の少し先。
「そろそろさ、母さんのこと話して欲しい。」
「そうだね、雄も高専に入学して呪術師としての人生を始めるんだ。母さん、夏油Aの事を話そうか。」
何も覚えていない息子に私のことをあまり話さなかったのは優しさだと思う。
でももう、頃合だもんね。
「どんな人だったの？」
「そうだね、お母さんはね綺麗で優しくて、呪術師としても立派でねかっこよかったんだよ。」
「あ、そうだ。」
「寝相が悪かった話でも聞く？」
私の話をして笑顔になる2人をみていると
2人を追いかける私の足はもう止まっていて、この世での旅はここで終わりなんだとわかった。
でもなんだか寂しいと言うよりも安心していて不思議と幸せだと感じた。
完.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moo(プロフ) - 何度も声が届けばいいのに、と思いながら読みました。長い長いお別れの話で悲しかったですが、面白かったです！ (8月5日 19時) (
レス) @page31 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
せんべえ(プロフ) - 泣きました、、、本当に。でもなんだか暖かくて幸せな小説でした！ありがとうございました！！！ (2023年5月6日 22時) (レス) @page31 id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kai | 作成日時：2023年1月13日 2時
