別れた先で ページ29
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死罪で処分された身なのでお葬式はなかった。
その代わり立派なお墓を立ててくれた。
「お墓までの坂道、辛かったでしょう」
東京の町外れ、小さな山に作られた私のお墓は、少しだけ長い上り坂を上がった先にある。
来てくれる人は皆、ほんのちょっと息切れをしているからいつも挨拶はきまっているのだ。
大抵他界してこの身を得るのに時間はかからないのだが、私は3日間はこの世界に現れなかった。
たぶん、荒れた傑さんを見たくなかったからだ。
でもやっぱり寂しくなってこの身を手にして彼の元へ向かったら、彼はこの立派に立ててくれたお墓にお供え物を持って会いに来てくれていたのを覚えている。
「母さん、僕はこれから母さんの通っていた呪術高専に入学します。」
「早く立派な呪術師になって母さんや父さんの名前に恥じないように、たくさんの人を救います。だからこの先も見守っててほしい。」
今日は私の命日で息子と傑さんが会いに来てくれている。
最初は煙臭くて泣いていたのに、今じゃもう慣れた手つきで線香を置いている息子を見れば月日がたったのを実感する。
私もそろそろ、旅をしますか。
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moo(プロフ) - 何度も声が届けばいいのに、と思いながら読みました。長い長いお別れの話で悲しかったですが、面白かったです! (8月5日 19時) (レス) @page31 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
せんべえ(プロフ) - 泣きました、、、本当に。でもなんだか暖かくて幸せな小説でした!ありがとうございました!!! (2023年5月6日 22時) (レス) @page31 id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai | 作成日時:2023年1月13日 2時