何度も ページ26
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書類管理室には事情聴取の資料もしっかり保管されている。
今日用があって管理室に入室したのは五条さんだった。
管理室の決して広くない机に、きっと砂糖が山のように入っているであろうコーヒーを置いて資料を探している。
「1月〇日××事件 夏油A聴取記録及び処分記録」
おそらくそれを手に取って席に着いた。
「五条さん、何度読んでもそれは事実ですよ。」
年に何回か、それもしっかり時間を空けて彼はこの資料を読みにこの部屋へやってくる。
あなたもやるせない気持ちが残ってるんですね。
身体的処分には執行人がいて、それは身内だってなりうるわけで。
「夏油Aの死.刑執行役として特級術師五条悟を任命する。」
15年前、この文字を何度も何度も指でなぞって悔しそうにしていた五条さんをよく覚えている。
「夏油A。今日呼んだのは君の処分が決まったからだ。」
処分状を受け取った私は自然と医務室へと向かっていた。
目を通さなくてもなんとなく察してしまった結果に涙なんか出せそうになかった。
「A…僕達もさっき受け取って、」
「…..こうするしかないのか?他に…」
「ないんですよ。これがベストなんで。」
目の前で狼狽える五条さんと硝子さんの顔を見ていたら
最後の晩餐はみんなと過ごしたいな、
なんて思えて。
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moo(プロフ) - 何度も声が届けばいいのに、と思いながら読みました。長い長いお別れの話で悲しかったですが、面白かったです! (8月5日 19時) (レス) @page31 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
せんべえ(プロフ) - 泣きました、、、本当に。でもなんだか暖かくて幸せな小説でした!ありがとうございました!!! (2023年5月6日 22時) (レス) @page31 id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai | 作成日時:2023年1月13日 2時