あの週末は ページ23
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15年前の悲劇。
呪体九相図が盗まれた事件、そしてそれが受肉して現れた事件。
窓の情報で東京都内へ多くの呪術師が駆り出されたのだが、情報が間違っていて標的地は高専だったあの事件。
出動せず待機している呪術師はみな高専に居て
でもそんな呪術師たちだけでは守り切れないほどの呪霊が一気に押し寄せてきた。
まだ私は妊婦で必死にお腹の子を守ろうとしていたのを覚えている。
戦える者は呪具を持って戦い、そうでない者は必死に逃げる。
幸か不幸か、私は妊婦だとしても特級術師で、もちろん選択は前者だった。
ある程度の級の呪霊を倒した後に気が付いたとんでもない気配。
背後におそらく未確認の特級呪霊が三体。
大きなけがはしていなくとも、呪力と体力は必然的に削れていく。
ここが正念場だと領域展開で三体を始末したあと、反転術式の治癒が追い付いていないことに気が付いた。
大きく体を動かしてしまっているため、母体と子供にそれぞれ治癒をしていた反転術式では呪力消費が激しい。
とっさにとった判断は、お腹の子を守る事だった。
残り少ない呪力を子供へ集中させて、傑さんへ連絡をした。
「ぁ...傑さん。あの、冷静に聞いてほしいんだけど。」
「高専に呪霊が侵入したの。それも特級が、たくさん。」
冷静に話せていたかは覚えていない。
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moo(プロフ) - 何度も声が届けばいいのに、と思いながら読みました。長い長いお別れの話で悲しかったですが、面白かったです! (8月5日 19時) (レス) @page31 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
せんべえ(プロフ) - 泣きました、、、本当に。でもなんだか暖かくて幸せな小説でした!ありがとうございました!!! (2023年5月6日 22時) (レス) @page31 id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai | 作成日時:2023年1月13日 2時