起こされるのは ページ2
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私は寝相がとても悪い。いや、
正確にいうならば、とても悪”かった”。
私がこの世界を離れてからもうすでに15年ほどたったのだろうか。
呪術師として生きた私は、今もうこの現実世界には存在しない。
仲間を置いて、家族を置いて、
寝相の悪い私をいつも起こしてくれた大切なあなたを置いて
私はこの世界を去った。
私は今魂だけでこの世界を自由に徘徊している。
呪霊なんかじゃなく魂そのものだけ。
この姿になってからはまず体がとても軽いことに驚いた。
いかに人間の肉体は重い鎧を着ているのかと思うほどに自由で開放的だった。
自由にいられると言っても、いわゆる幽霊の様な体を持った私はただこの世界を旅行しているわけではない。
「空から見守っていてね」という言葉にこたえるように、
私はこの世界に残してきてしまった人、想い人を天から見守っている。
起こされる毎日から、これが私の新しい日課になった。
今日も天からあなたを覗いてみているけれど、
夜のベッドには当時私が寝ていたように一人分のスペースがあけられたまま。
朝起きれば隣を確認するあなたの姿。
この15年間あなたの日課は変わっていないのね。
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moo(プロフ) - 何度も声が届けばいいのに、と思いながら読みました。長い長いお別れの話で悲しかったですが、面白かったです! (8月5日 19時) (レス) @page31 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
せんべえ(プロフ) - 泣きました、、、本当に。でもなんだか暖かくて幸せな小説でした!ありがとうございました!!! (2023年5月6日 22時) (レス) @page31 id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai | 作成日時:2023年1月13日 2時