33 甘い、 ページ34
モ「……よし、いいかな」
カチッと言う音と共に轟音と温かい風がやむ。
モトキくんにお風呂に入れてもらってふわふわになった。
モ「A、おいで」
「にゃ」
ソファに座ったモトキくんの膝に乗せてもらって、今度はブラッシング。
心地よい感覚に眠くなってくる。
モ「さて、完成ー」
ウトウトしていた意識がモトキくんの声でハッと目覚める。
モ「ふわふわになったねぇ…」
「にゃぁー」
ありがとうとお礼を込めて鳴いて、伸びをする。
モ「………………」
「……？」
モトキくんの上から降りようとすると、じっと見られていることに気がついた。
何を言うわけでもなく、ただ見てる。
(モトキくん…？どうしたのかな…)
モ「…………」
ボフッと私の背中に顔を埋めた。
(え、なにっ…！？)
びっくりドキドキしている私をよそに、モトキくんは
モ「はぁ……、ふわふわだぁ……、癒やされる…」
と呟いている。
(か…、かわいい……というか、くすぐったい…)
モ「A、かわいい」
至近距離での甘い声にドキッとした。
勿論モトキくんは猫相手だし、深い意味はこもってないと思う。
でもお忘れだろうか。
私は元人間である。
困った！
モ「ふわふわで、いい匂いで、暖かくて……なんだか……、俺…、」
(ど……、どうしよう…！私……、私……！！)
モ「眠くなってきちゃった……」
「！！」
そう言うとモトキくんはソファに横になり私を抱きかかえ、撫で始めた。
「にゃぁー…、」
モ「ふふ……、A……」
ふわふわしたモトキくんの声。
甘い、声。
ドキドキ全身が脈打つみたい。
熱い…。
身体も心もふわふわした感覚になってきた。
モ「A…、おやすみ」
「にゃぁ…」
人の…猫の気も知らないで。
眠りについたモトキくんの胸元辺りに丸くなり、私も眠ることにした。
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作者名：成海 | 作成日時：2024年2月21日 14時
