27 想い ページ28
モ「ちょっとまっててね」
脱衣所に用意されたタオルの上に降ろされ、モトキくんはまたお風呂場に戻っていったので、自分で体を擦りつけてなんとか体を拭き、隅っこで丸くなった。
モトキくんが上がってくるのを見るわけにいかないので、ドアを開けてもらったら速攻リビングに逃げた。
その後ろを、着替え終わったモトキくんがついてきて、抱き上げられ、ソファに座るモトキくんの膝の上に乗せられた。
モ「っと…」
どこかに電話をし始めたモトキくん。
モ「シルク、家についた？
さっきは探してくれてありがとう。
ごめんね迷惑かけて」
相手はシルクくんか。
シルクくんも探していてくれたのか…。
本当にあちこちに迷惑をかけてしまった…。
ショボンとしているとモトキくんの手が私の首元を撫でる。
モ「Aも反省してるみたいだよ。
うん……、ふふっ、そうだね、伝えとく。うん。」
「？」
笑われている…？なんだろう…。
不思議そうに見上げていると、電話を切ったモトキくんが
モ「A…、シルクがね？
『迷惑と心配かけられた分は今度撫で回させてもらうからな』ってさ」
と笑いながら教えてくれた。
「にゃー」
それくらいは、恩返しさせていだだこう。
モ「……俺も、沢山心配したよ」
急に声のトーンが低くなったモトキくんに耳がピンッとなる。
モ「何かあったら…って…凄く心配だったし、焦ったし。本当に…急に出ていくのは勘弁してよ」
「にゃぅ…」
モ「もし……出ていきたいならそれでも構わないよ。
でも…、急にいなくなるのはやめて…？」
元気のないか細い声で私を撫でるモトキくん。
「にゃぁ」
(ごめんね、そんなつもりはなかったんだよ、そばにいさせてね)
そう、伝わればいいな、と思いを込めて擦り寄り手を舐めた。
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作者名：成海 | 作成日時：2024年2月21日 14時
