19 見知らぬ猫 ページ20
「………………？」
モトキくんのいない昼間。
日の当たる窓際で外を眺めていると、見知らぬ猫が歩いていた。
(あ、猫。って私も今は猫なんだけど。
転生してから初めて見たかも)
外に出ると言ってもシルクくん達の家へ行くくらいなので、そんなに探索もしていない。
まぁ、出ようともあまり思わない。
一人で出て土地勘もなく迷子になるのも嫌だし。
「そこの猫。転生ライフは楽しいか？」
「へ……？」
猫が、しゃべった…？
猫語じゃない、日本語だ…！
「うそ…なんで…！？」
「君も喋ってるじゃないか、まぁ猫同士だから通じるだけで、人間には通じないんだけど」
「えぇー…、ね、ねぇ、そういえばさっき、転生って……」
「あぁ、転生させたのは私だからね」
「は……！？」
しれっと言ってみせた猫に開いた口が塞がらないとはこのことだ。
「ど、どういうことなのか説明して…！」
「んー、君、子供を庇っただろう？
私はあの子の飼い猫だったのさ。
しかも私は永く生きてきた…まぁ猫の神様でね」
「…………」
「本当だからね？
じゃないと君の転生を知っていた辻褄が合わないじゃないか」
「ま、まぁ…」
にわかには信じ難く、戸惑う私を後目に話が進む。
「まぁつまり、私の主人を助けてくれた礼だ。
第二の人生…いや猫生を楽しんでくれ」
「は、はぁ…」
「おっと、君の飼い主が帰ってきたな、ここまでだ」
猫は伸びをするとトテトテと窓から離れて行ってしまった。
「ちょっ……！まだ聞きたいことが…！」
カリカリと窓をひっかき少し開いた隙間に顔を押し込んで無理矢理開いて外へ飛び出した。
「Aただいまー」
モトキくんの声は、聞こえてなかった。
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作者名：成海 | 作成日時：2024年2月21日 14時
