12 「頼んだ。」 ページ13
slk side
モ「…………、」
シ「お、起きた」
ふっと目を覚ましたモトキを覗き込むと、珍しく驚いたのか目をまんまるにして
モ「………なんで」
と枯れた小さい声でつぶやいた。
シ「…この子が教えてくれた」
モトキの枕元で心配そうにしていた猫はいつの間にか寝てしまっていた。
モ「Aが…？」
シ「Aちゃんて言うのか？賢いな、この子」
モトキに、俺がここに来るまでの経緯を説明すると、驚いてはいたが納得した様子だった。
シ「よかったな、頼れる同居猫で」
モ「ん…、Aありがと…」
モトキが力の入ってない手で優しく撫でると、ピクン、と耳が動いた。
シ「とりあえず、お粥とかあっから食って薬飲んで寝ろ」
モ「………シルクの手作り…？」
眉間にシワを寄せ少し布団に潜ったモトキ。
おいおい、なんだよその反応。
まぁ正解なんだろうけどな。
シ「…自慢じゃねぇけどお粥なんか作った事ねぇわ。レトルト」
モ「だよね…。シルク、ありがと…」
シ「おぅ」
慣れないながらも世話を焼いて薬を飲ませた。
俺の大嫌いな熱さまシートも買ってきてやった。
(いや本当無理。貼ってるの見てるだけでも無理。
触んのも嫌だから自分で貼らせたわ。)
シ「…寝たな。…帰るか」
結構辛いのかまた眠りについたモトキを少し眺めてから立ち上がり、玄関へ向かう。
「にゃー」
シ「！お前」
靴を履いてると、後ろから鳴き声が。
振り向いたら、Aちゃんがちょこんと座っていた。
シ「なんだ？お見送りか？」
撫でようと手を伸ばすと、その手に擦り寄ってきた。
可愛い。
シ「俺帰るから。…モトキの事頼んだ」
「にゃあぉ」
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作者名：成海 | 作成日時：2024年2月21日 14時
