10 無力な猫 ページ11
モトキくんより一足先に起きて、少しお家の中をウロウロして。
そうしてると起きてきたモトキくんがおはようってトロンとした笑顔で優しく撫でてくれる。
それがいつもの朝。
けれど。
今日はいつまで待っても起きてくる気配が無い。
(……疲れてるのかなぁ…。でも用事無いとも限らないし…、起こした方がいいかなぁ…)
意を決して寝室に入り、モトキくんの元へ。
「にゃぁー」
鳴いてみたけれど起きる様子がない。
ペロッと舐めてみると
「！？」
あっつい。しかもすごい汗。
「にゃー、にゃー」
「っん……、A……？」
鳴いたり舐めたりしてると、うっすら目を開いた。
「ぅ…今何時…。
……うわ……ごめんねA………、お腹、空いたよね……っ、今…」
荒い息遣いで、フラフラと立ち上がろうとする。
と、
「っ、」
ガクッと倒れ込んだ。
「にゃあにゃあにゃあ」
「ごめ…少し、だけ…、」
そう言って再び眠りについてしまった。
(どうしよ…、こんな時に私、何もしてあげられない…)
薬を用意してあげることも、お水を用意してあげることも、何もできない…。
(せめて誰か助けを…、あ…！)
思いついたのは、やっぱりあの人達。
(その前に、猫にスマホって使えるの…！？)
モトキくんのスマホを肉球でタッチしてみると、反応した。
(うわ…使えた…！良かった…！)
(パスコードも見てたから覚えてる。
ライン…、電話…)
人間の時のようにうまくはいじれないけれど。
なんとか見つけた"シルク"の字。
(見つけた…！)
文字は流石に打てないから、電話のマークをタッチした。
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作者名：成海 | 作成日時：2024年2月21日 14時
