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「な、すごない？」
「んーまーたしかに？
シンプルな傘ならまだしもなー
それでいてAちゃんに似とったとか、凄い偶然やんなぁ」
あのアメの日の話をなんとなしに照史にした。
「…淳太くんは一途やなー」
「んー…踏ん切りがつかへんだけやて」
「でも、それだけAちゃんのこと好きやったんやろ？」
「そりゃぁな。大好きやで。…今でも…」
Aにプロポーズしようと思って買っていた指輪は、なんとなくやけどずっと鞄に入ってる。
それを知ってる照史からしたらあまり良い気はせぇへんかったみたいで
「…こういう言い方がえぇか分からへんけど…早く吹っ切った方が…」
と言いにくそうに言ってきた。
「…わかってるわ。
…Aのご両親にも同じこと言われてん」
『Aを好きでいてくれたのはとても嬉しいけど、まだ若いのだからあなたは貴方で新しい道を歩んで。幸せになってほしいの』
「……分かってんけどなー…」
思ってしまう。
ショーウインドウに飾られたウエディングドレスを見て、Aに似合いそうやな、とか。
子供と親子３人で仲睦まじく歩く姿を見て、俺もAとああやって家庭築きたかったな、とか。
彼女との未来を、探してしまう。
「……今すぐとか…無理にとは言わへんから…な？
俺もいつでも飯とか付き合うし」
「…ありがとうな」
脳裏に浮かんだAの姿を打ち消すように、ビールをあおった。
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作者名：成海 | 作成日時：2019年6月13日 2時
