【企画】ワンダー・ワールド【始動】

wonder.02 ページ4

そう言われたシヴァは思い出したような顔をして相槌を打つ。
そして先程より心底楽しみそうな表情をした。そして浮かれたような足取りで...この自室の扉に手を掛ける。



「楽しみだなぁ」
「何を言うつもりか？」
「やだなぁ...君もアルカナでしょ？楽しみは残しておくものだよ」


そうして静かに開く扉。廊下があるー…と思われたが其処には塔の広間であった。
簡単に言おう、瞬間移動を使ったのだ。


舞踏会でも開かれそうな位に広い広間にいたのは三人のアルカナ所持者であった。
Ｊ、Ｋ、Ａ。そしてシルビアはＱである。


その四人に向かって彼は音もなく彼等に近付いていった。すると気配に気付いたのか彼等はシヴァを振り返る。


「ねぇ、何の用で呼び出されたの？」


笑顔でシヴァに聞くのはスカル・カリンダ。キングのアルカナ所持者だ。胸元がはだけた着物を着て長髪を縛る...色気の多い彼はシヴァに"わざと"顔を近づけて聞く。


だがシヴァはそれも笑顔で対応する。


「相変わらずの色気だね！僕も女の子になった方がいい？」


万能の"世界"であるシヴァは姿を変えることが可能なのだ。今は仮の姿であるから。そしてスカルは女好きでもある。"彼"とは正反対に...


「おかしいですよ....その、女性が好きなんて...」


おどおどと言う長身の青年の名はﾚｲｳｧｰﾙ･ﾒﾙｷｾﾃﾞｸ。エースのアルカナを持つクールな性格だが女嫌いという特徴だ。

幼い姿をしているシルビアにさえ脅える始末であるからシヴァは女の子の姿になって彼に近付くのが密かな趣味でもあるのだが。


「情けないぞ、女くらい平気だろう」
「それもそうだな...我に脅えるとは」


きっぱりと言いはなつのは黒髪を後ろで少し縛った青年人を見下すような視線が特徴の...ジャックのアルカナを持つ蓮玖(ﾚﾝｷｭｳ)。その隣に立つはクイーンのシルビアである。


これでアルカナは全て揃った...

彼はこれまでに無いほどの胸の高鳴りを抑えられなかった。


「君達には...とある試練に応えてもらいたいんだ」
「どういう意味だ」
「そのまんまだよ？」


挑戦的な笑みを崩さずに目の前の四人を見つめた。戸惑う者や笑顔のﾎﾟｰｶｰﾌｪｲｽを張り付けた者、先程のように反論する者や無表情を崩さない者もある。
その反応を見て彼は更に笑みを溢してしまいそうになる。



「...君達と"対となる"存在を生み出したよ」

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