◆無理《期望る》 ページ30
肌寒くなってきた今日この頃、Aの元に衝撃が入った
『学会…ですか』
「あぁ。君が作った論文が教授たちでも話題になっていてね」
バザバサ、と持っていた教材を落としてしまった。あまりの出来事に頭がついていかないようだ
『あ、えっと…少し考えさせてください』
「あぁ、勿論。良い返事を期待してるよ」
午後の講義が休講になった為、先程立石教授に言われた事をボンヤりと考えながら歩いていると、Aはとある場所に向かう。大きな木の幹の下の近くに二人がけの椅子があり、Aは其処が最近のお気に入りの場所だった
サラサラと木の枝が風に揺られ、心地よい風が体全体が包まれる
『良い返事を期待してるって事は…学会に行けってことだよなぁ…』
はぁ……と重いため息を吐き、頬杖をしながら行き交う人々を眺めていた
「随分と重い溜息をついているな。らしくないんじゃないか」
その声の主のする方向に視線を向けると
『湯川、先生』
「君らしくないな。僕で良ければ話を聞こう」
片手に教材を持ち、隣に座る湯川の姿があった。最早Aにとって心の拠り所と言っても過言では無かった
『…立石教授に』
「立石教授がどうかしたのか」
『学会に出てみないかって』
「…学会」
『何十人といる中でステージに立って発表だなんて…吐き気がしてきてたまったもんじゃない』
「まぁ、発表する側からしたらそうだろうな。その分君に期待してると捉えるべきなんじゃないのか」
『う"〜ん…』
「その学会には僕も参加する、と言ったら君は出るのか？」
『えっ…！いや、でもなぁ…』
まぁ、顔見知りの人がいるなら心の余裕も出来なくもないが
「…分かった。なら賭けをしないか」
『は？？？』
「もし学会に出るなら君の好きな洋酒を買おう」
『いやいや、物で釣らないでください』
「アマハガン」
『え…』
「アマハガンのウイスキー」
国内最小規模クラスの蒸留所が生産する"アマハガン ワールドモルト エディションNO.1"。スモーキさも少なく、ハイボールはもちろんストレートでも飲みやすいのだ。気軽にロックやハイボールでも行ける、と以前Aは言っていた
「勿論僕が出す」
『必ず？』
「あぁ。二言はない」
______かくして、Aは学会に出ることが決まったのである
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霰(プロフ) - ストーリーに主人公の台詞や行動を上手く溶け込ませていて感動しました！とても見応えがあって面白かったです！続編のパスワードを教えて下さると嬉しいです…。 (9月18日 22時) (
レス) @page38 id: d0de0fcaaa (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ものすごくよかったです とてもストーリーが面白くハマって何度も読みました。パスワードを教えて欲しいです。これからも応援します (7月30日 20時) (レス) @page38 id: 52d5f2e226 (このIDを非表示/違反報告)
FUKI - 湯川先生との関係性や、ストーリーが私好みで、本当に楽しくニマニマしながら読ませていただきました。ただでさえ湯川先生の夢小説は数がないというのに、こんな良作に出会えてよかったです。作者様の帰りを心待ちにしております。 (2023年4月28日 1時) (レス) @page38 id: 4e76e83fbd (このIDを非表示/違反報告)
ater(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました。是非続きを見たいのでパスワードを教えていただけないでしょうか…… (2023年3月10日 17時) (レス) id: 41a5a27abb (このIDを非表示/違反報告)
リンくん(プロフ) - 面白かったです！続きが見たいので、パスワード教えて欲しいです！ (2022年12月17日 8時) (レス) id: a5a7605112 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
