Workaholic【桃】

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「あの、一つ聞きたいことがあるんですけど」



突然Aちゃんが真剣な顔でたずねてきた。



「なに？」



内心ちょっとドキドキしながらも、悟られないようになるべく優しい声で聞き返す。



「私、ななもりさんにすごく子供扱いされてる気がするんです。
もしかしたら頼りないって思われているのかなって……」



どうやらさっきなーくんに頭を撫でられたことを気にしているらしい。



普通の女の子なら喜びそうなものだが、やっぱりAちゃんは仕事第一らしい。



「なーくんは割と誰にでもあんな感じだから気にしなくていいよ」



女の子の頭を撫でるなーくんなんて初めて見た。



でもそれを伝えたらAちゃんがなーくんを意識してしまいそうで、思わず嘘をついてしまった。



「むしろなーくん、Aちゃんを仕事相手として結構信頼してると思うよ」



少し罪悪感もあってフォローしたら、さらに衝撃の事実を聞かされた。



なーくんが出来たばかりの新オフィスにAちゃんを招待したというのだ。



Aちゃんには他の取引先も来ているなんて言ったらしいが、俺はもちろんそれが嘘だって知っている。



引っ越したばかりのオフィスに取引先が来たなんて話はまだ聞いたことがない。



Aちゃんが遠慮しないようにという、なーくんの気遣いだろう。



なんだよ、なーくんガチかよ。



たしかにAちゃんのことは気になるが、俺はまだ自分の気持ちが恋愛感情なのかもわからない。



だからもしなーくんが本気でこの子を好きなのなら、俺は応援した方がいいのかな……なんてぼんやり考えていた。


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