【テニプリ】財前くん、あのね＿。 (ページ3)

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次の日、まだ誰もいない教室に入り窓側の自分の席に座る

スマホにイヤホンを挿し耳に付け私は本を読み始めた

しばらくするとだんだん人が増えてきたせいか元々あまり音量が大きくなかったイヤホンの隙間から人の声が聞こえてくる

私はスマホに軽く目を向けまだ時間があることを確認し本に目線を戻した

それからあまり時間が経たずに私耳から音楽が消え入ってくるのは騒がしい声だった

急な出来事で驚き顔を上げると私の耳から取ったイヤホンを手に昨日と変わらない無愛想な顔をしている前の席の人と目が合う

目が合ったまま何も喋らない彼に私ははてなマークを浮かべる

『…あ、あの？』

私が声を掛けると何も言わずにイヤホンを置き栞を差し出した

「これ、昨日落としたやろ」

彼が持っている栞をみると小さく英語の筆記体でAと書いてある裏葉柳色の栞だった

『あ、ほんとだ…』

予備でバックに入れてる栞が昨日急いで帰った時に落ちたのだろう彼の手から受け取り私は礼を行った

『ありがとう、えっと…』

名前が分からずどうしようか考えてると彼が口を開く

「財前光」

『財前くん、ありがとう』

「苗字なんて言うん？」

『鈴木』

「じゃあ鈴木呼ぶわ」

『うん、前後の席同士よろしくね』

会話が終わり財前くんは前を向いた

時計を見るともうすぐHRが始まりそうで慌てて私は本を仕舞った