貴方だけ。

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「…今日もあのヨーグルト？」

困っている私にジフン先輩がそう尋ねる。

あのヨーグルトというのは私が毎週このコンビニに来たら買っているものだ。
たまにお弁当とか買う時もあるけど、これは必ず買っている。
ジフン先輩に会うというのが本来の目的だから買うものはなんだっていいのだけど、
毎週何となくヨーグルトを手に取ってしまう。

「…あ、はい。あれがないと1週間終われないので……」

適当に選んでいるとは言えずそんなことを言う。
するとジフン先輩の方からふ、と息の漏れる音がした。

「ヨーグルトが好きなんだな」

そう言ってジフン先輩はよく分からないツボに
くくくと笑っていた。

「…わ、笑わないでください。
ヨーグルトは身体にもいいですし、美味しいです」
「悪い…けど、ヨーグルト熱弁してるの面白くて」

私もムキになってありもしない理由を語ってみると
ジフン先輩は更にツボに入ってしまった。……可愛い。

「あー、笑いすぎて涙出てきた」

そう言って涙を拭うジフン先輩をつい見つめてしまう。

あれ程遠い存在だったはずのジフン先輩とお話して
私の話すことに耳を傾けてくれて、そして笑ってくれている。

ずっとただ見つめるだけだったはずなのに急速に縮まった距離に
私は喜んでしまっている。
終わりが来るかもしれないのに今この瞬間だけを
楽しんでしまっている自分が好きではなかった。



その瞬間を好きだと思ってしまったら
終わりがとんでもなく辛いから。



だけど、今目の前でジフン先輩が私を見てくれてる。
その事実だけで私の胸は容易く踊ってしまうのだ。

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