ただいま、先生《名前変換オリジナル短編》 (ページ7)

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７・生涯の中で一番の奇跡ですページ7

「Aからききました、慎司さん病気なんですってね」
「……」
「……言ってくれたらよかったのに、懇談の時にでも」
「……すまない」

父はか細い声でそう言った。

「こうやってねまた出逢ったのは偶然じゃなくて必然だと思うの」
「あぁ」
「だからさ、最後の時までまた一緒に暮らしませんか」
「……」
「大きくなった娘と一緒に……」

その言葉を聞いた父は大声を上げて泣いた。
泣いた。泣いた……。
その間、母は何も言わなかった。
ただ父のそばに行き見守っていた。

その日から私達は３人で生活を送る事になった。

車椅子に乗った父は、できる限りの事をしてくれた。
母の顔はいつもより明るくなった気がした。

高校生活もあっという間に終わり、卒業式。
２年後には成人式があって、どっちも両親２人で来てくれた。

その後私は就職して初任給で２人に旅行のプレゼントをした。
そしたら、もう一枚チケットを買って３人で行く事になった。
楽しかったなぁ。

そして、旅行から１年後。
父は亡くなった。
病名はもちろんALS。

悲しくて仕方が無かった。
お葬式の時には泣いた。沢山泣いた。

だけどもう前とは違った。
母も私も。
新しい未来を見据えて明るく今を生きている。
父の分まで生きている。

今日を生きていく。

～fin ～