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17(6月16日) ページ17

アスファルトの道を走って走って、走り続けた。
呼吸も苦しくなって、何度も足がもつれた。

だけど、だけど!
私、諦められない!

いくつもの汗が額を伝い、重力に逆らって落ちていく。
体が揺れる度にしょっぱい液が飛び散る。
汗と涙が混じってもうぐっちゃぐっちゃ。

それでも私、走り続けた。
目的地はただ1つ。

夕焼けに沈む道をひたすら駆け抜けた。
もう多分何も考えられない。
………聖夜君の事しか……



「はぁっ………っ……」


生唾を飲み込んで、ぼやける視界で辺りを見渡す。


「聖夜君……聖夜君!……」


でも返ってくるのは静寂だけ。
それでも諦められなくて辺りを見渡す。


「………」


そんな私が見たのは、走り去っていく一台の車だった。

『あれは……』

前に聖夜君の家に来た時に停まっていた……

『……遅かった、か………』

そのまま走り去っていく車に目が釘付けになる。
きっとあの車の中には聖夜君が乗っているんだろう。

『もっと速く走れば良かった……』

自分の力の無さを悔む。
そんな自虐心は涙とともに堕ちていった。


「……大好き……大好きでだった……いや、私、聖夜君が大好きです!」


ありったけの声で叫んだ。
どうせ何にも返ってこないのに。



「僕もだよ、A」
「えっ………」


驚いて振り返った私の目に飛び込んできたのは、


「聖夜君……」


カッコよくて
大好きな
聖夜君だった。


「……っ………うぅ……」


さっきよりも激しく涙が溢れてきて。


「おぉっ!」
「聖夜君っ……」


思わず聖夜君に泣きついた。
聖夜君は優しく私の頭を撫でるとにこっと微笑んだ。


「来てくれたんだね、A」
「だって…私、会いたかった…」


私がそう言うとより一層強く聖夜君は私の事を抱きしめて、


「僕も」


たった一言こう言った。
しばらくそのままでいたけど、そっとどちらからとも無く離れていった。


「ねぇ、A……」
「………何?……」


聖夜君が真剣な眼差しでこっちを見てきた。


「僕は、Aが好きです。」


そう言って私の手を包むと続けた、


「良かったら、僕と付き合ってもらえませんか?」


こんな聖夜君の言動に少し驚いたけど、私、とびっきりの笑顔で答えた。


「はい!」











紅く染まった夕焼けの下で笑い合う純粋な影が2つ重なった。



〜fin〜

あとがき→←16 (6月13日)



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まありな(プロフ) - わさびさん» レス遅れてすみません(汗)コメントありがとうございます!次回作も読みたいと言って下さってとっても嬉しいです(^^)次回作ももしかしたらファンタジー系になるかも?と考えているまありなです。これからもよろしくお願いします! (2018年6月17日 16時) (レス) id: 861ad6280a (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 完結しましたね!おめでとうございます!とっっても面白かったです(^-^)ファンタジー系の恋愛物語…珍しい設定なので引き込まれちゃいました!まありなさんのストーリーまだまだ読みたいので次も楽しみにしてます! (2018年6月17日 6時) (レス) id: ce8d2a8d7d (このIDを非表示/違反報告)
まありな(プロフ) - 鏡夜*スカーレットさん» ありがとうございます!最高だなんてそんな……まだまだです(笑)語彙力もおかしな文章を放り込んだりしてしまうのでもっと精進しないとなんて思います。これからも楽しんでいただける作品を作っていきたいと思っているのでよろしくお願いします! (2018年6月16日 16時) (レス) id: 861ad6280a (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜*スカーレット(プロフ) - 完結おめでとうございます!なんか……最高でした(語彙力)次作も楽しみにしてます。 (2018年6月16日 16時) (レス) id: dd46af3844 (このIDを非表示/違反報告)
まありな(プロフ) - 否さん» 大変長らくお待たせいたしました。先ほど一話分更新させて頂きましたのでご覧になって頂けたらと思います。これからもよろしくお願いします! (2018年6月13日 20時) (レス) id: 69e2d78fba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まありな | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月26日 21時

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