１５ (5月4日) ページ15
しばらくはただ呆然として、２人、下を向き合ってた。
初めて私に寄り添ってくれた聖夜君が居なくなるなんてどうしても信じられなかった。
いや、はなから分かってたんだとは思うよ？
この現実を受け止めなきゃいけないって事は。
……だけど、信じたく無いじゃんか、こんな事。
信じられるはず無いじゃんか。
胸の中がいっぱいになって目頭が熱くなる。
そして、生暖かい液体が頬を伝った。
重力に逆らう事なく自分の膝に落ちていく。
「ごめん………」
震える口で蚊の鳴くような声を出した。
「こっちこそ、ごめん……」
やけに小さな声で聖夜君が答えてきたから、少し驚いて聖夜君の事を見上げた。
そこにはいつもと違う、唇を震えさせ涙を堪える聖夜君が居た。
「どうして、聖夜君……」
「僕、もっとAの側に居たかった。Aと一緒に過ごしたかった！」
初めて聞く聖夜君の切羽詰まった声だった。
「私もだよ……聖夜君」
この一言さえも、もうなんて言っているのかわからないくらい泣きじゃくっていた。
ただただ悲しくて辛かった。
「…………いつ、引っ越すの？」
「３日後」
「そっか……」
聖夜君に告げられた残りの時間はあまりにも短いものだった。
だってたった３日で何が出来るっていうの？
出逢った時も一瞬で、別れる時も一瞬で終わってしまう。
だけどこんなに誰かに逢いたいと思った経験は初めてだった。
「急に決まっちゃってさ、Aにはいきなりでゴメンだったけどどうしても伝えたかったんだ。
それにまた交換日記では繋がれるし、ね？」
相変わらず表情は乱れたままだけど、聖夜君はこう優しく声をかけてくれた。
声を出す気力ももう無くて、私は小さく頷いた。
そんな私の背中を聖夜君は優しく撫でてくれた。
それだけで自然と心が休まる気がした。
「ありがとう……」
私が発したこの言葉が聖夜君に届いたかは知らない。
夕日の沈む時間帯。
私は１人で舗装道路を歩いていた。
硬いコンクリートはいまの私の心の中を表しているみたいだった。
暗くてどんよりとした感情が心の中に深く深く広がっていく。
足元さえおぼつかない。
３日_____たった３日間で最後のお別れを言う最高のシチュエーションなんて思いつくはずが無くて、どうしていいのかなんて今の私には分からなかった。
交換日記では繋がれるけど出来る事なら聖夜君の側にいたい。
ずっと………
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まありな(プロフ) - わさびさん» レス遅れてすみません（汗）コメントありがとうございます！次回作も読みたいと言って下さってとっても嬉しいです(^^)次回作ももしかしたらファンタジー系になるかも？と考えているまありなです。これからもよろしくお願いします！ (2018年6月17日 16時) (
レス) id: 861ad6280a (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 完結しましたね！おめでとうございます！とっっても面白かったです(^-^)ファンタジー系の恋愛物語…珍しい設定なので引き込まれちゃいました！まありなさんのストーリーまだまだ読みたいので次も楽しみにしてます！ (2018年6月17日 6時) (レス) id: ce8d2a8d7d (このIDを非表示/違反報告)
まありな(プロフ) - 鏡夜＊スカーレットさん» ありがとうございます！最高だなんてそんな……まだまだです（笑）語彙力もおかしな文章を放り込んだりしてしまうのでもっと精進しないとなんて思います。これからも楽しんでいただける作品を作っていきたいと思っているのでよろしくお願いします！ (2018年6月16日 16時) (レス) id: 861ad6280a (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜＊スカーレット(プロフ) - 完結おめでとうございます！なんか……最高でした(語彙力)次作も楽しみにしてます。 (2018年6月16日 16時) (レス) id: dd46af3844 (このIDを非表示/違反報告)
まありな(プロフ) - 否さん» 大変長らくお待たせいたしました。先ほど一話分更新させて頂きましたのでご覧になって頂けたらと思います。これからもよろしくお願いします！ (2018年6月13日 20時) (レス) id: 69e2d78fba (このIDを非表示/違反報告)
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