明日嘘が舞いました２【S.S】 (ページ1)

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５１(9月24日) ページ1

～零side～

３６°…３６°……
なんだ、考えろ、俺。

「ほら、早くしないと死ぬぞ！」

セイギさんが急かしてくる。

「もう、駄目なのか？」

何やらブツブツ言いながら末崎さんが部屋の中をうろちょろと歩き回っている。

「はっ！」
「なんだよ、うるせぇな」
「ちょっと、貸せ」

末崎さんは何やらウキウキしながらタブレットを奪い取った。

「ほ～らあった、カブ」
「カブ？」

俺とセイギさんは首を傾げた。

「カブなんてありえない」

本当に末崎さんの考え方は飛躍しすぎていて理解できない。
……待て、飛躍した発想。

俺は何故か上を見上げた。
そこにあったのは全面鏡張りの天井。
その外には自由に飛び回る鳥が見える。

そうか！
わかったかもしれない。

「あの角が３６°になる二等辺三角形を１０個合わせると十角形になる。それを空を飛ぶ鳥の視点からみた図形。恐らくそれが答えです！」
「……星？、星の図形は、ある」

セイギさんがニヤリと笑った。

「コレで２つ目のリング確定」
「いや、星ではありません」
「何故？」
「星だと反転した二等辺三角形も出来てしまいます」

部屋は全ての条件を同じにしないといけないんだ。
すぐそこまで水面が上がってきている。
揺れる水面のせいで口の中に水が入り込んでくる。

「もう、駄目だ。先生、待ってろよ！」

そう言って末崎さんがサイコロの入っていた台を持ち上げた。

「今助けるからな、先生！」
「やめろ！そんな事したら失格になる」
「うるせえ！命の方が大切だろうが！」

そう言って末崎さんが台を振り下げようとしたその時だった。

「やめろ！みんなの命が懸かってるんだ」

そんな俺の声を、言葉を聞いて末崎さんが台を地面に置いた音が聞こえた。