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【嘘つきな君】 ページ9
「Aッ」
やっぱり屋上だった。
空が一番近い場所、君の華奢な体はいつもよりももっと小さく見えた。
後ろから力いっぱいに抱きしめるとAは驚いたように振りかえる。
「ホソク、どうしたの」
嘘つきな君はやっぱり俺に弱さを見せない。
いつもと変わらない笑顔を向けるのに、そんな君を見るのがつらかった。
気づいてやれなかった俺が、憎かった。
「なんかあったら俺を頼って」
「え?」
「なんかあったら俺を呼んで」
「ホソク?」
「無理だけはしないで」
「大丈夫だよ。」
そして。
もうすぐ、自由になれるから。と言った。
何も言えずにただ抱きしめることしかできないこんな俺を君はどう思うのだろうか。
無理して作るその笑顔を。
無理に明るく紡ぐその言葉を。
不安で、君を少しでも近くに感じていたかった俺は強く君を抱きしめた。
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作者名:ユル | 作成日時:2018年10月19日 18時