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【俺を忘れた君。】 ページ5
「じゃあな」
「――ユンギさん、」
病室を出ようとした俺を呼び止めるような声。
振り返る。
「ん?」
「ありがとうございます」
手放してしまったほうが楽なのに。
そんな時に限ってお前は俺に、光のような笑顔を向ける。
「好きでやってるだけ。」
「私もなにか、ユンギさんにしてあげられればいいのに」
「――なんでもしてくれんの?」
「できることなら」
「ふーん、」
俺の中から消えてくれ。
そうすれば、お前も俺も苦しくなくてすむんだよ。
言葉に出せず飲み込んだ言葉。
「じゃあ、そのユンギさんってのやめろよ」
俺をユンギと呼ぶ声。
怒った声に、喜んだ声に、笑った声。
俺にとってなにより大切な存在。
「ユン、ギ」
「そうそう。」
ふっと、笑みがこぼれる。
自分でも驚くほど、こいつの前での自分は自分じゃないみたいに素直だ。
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作者名：ユル | 作成日時：2018年10月19日 18時
