【罪と君】 ページ24
必死に駆け回ってヌナを捜した。
いくら叫んでも、返事は帰ってくることはなかったけれどヌナは、たった独り暗い公園の中に立ちすくんでいた。
「ヌナッ」
「テヒョ――、」
振り返って俺の名前を呼ぶ前に、俺は力いっぱいヌナを抱きしめた。
小さくて、折れそうなヌナ。
こんな小さな体でいっぱいいっぱいになるまで戦ってたんだ。
「――ごめん、テヒョン、私ね」
「いいから、何も言わなくていいから」
ヌナは涙でぐしゃぐしゃになりながら、俺に縋るように泣いた。
「――テヒョン、」
「ん?」
「助けて…」
「うん」
やっと聞けた、ヌナの本当の声。
「ヌナ、遅いよ。もっと早く助けてって言ってほしかった」
ヌナの耳元に優しく伝わるように言う。
ヌナがどれだけいっぱいいっぱいの中で父親を刺したか。
それがヌナの罪なら、俺だってその罪を受けるよ。
「――俺たちは、姉弟だよ。俺頼りないかもしれないけどそれでもヌナくらい守れるよ。」
あぁ、溢れる。
ツーっと頬を伝う涙。
俺にとってヌナは唯一の姉弟で。
ヌナにとっての俺も唯一の姉弟なんだから、と。
「ヌナ、逃げよう。」
二人で、遠くへ。
罪を背負いながら二人で生きていこう。
「…手、繋ごうヌナ。」
流れる、刺殺のニュース。
俺たちは罪を背負いながらさまよい続ける。
.end.
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユル | 作成日時:2018年10月19日 18時